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にいがたオレンジドクター

本人、家族の不安解消

かかりつけ医に相談を

 最近、もの忘れが目立つようになった―。そう感じたらどこに相談したら良いのでしょうか。相談機関はさまざまありますが、身近な存在であるかかりつけ医もその一つです。県は今年、認知症の専門知識を持つかかりつけ医を周知する「にいがたオレンジドクター」認定制度を創設しました。早期発見、早期治療の一端を担うとともに、専門医療機関や市町村と連携し、本人と家族を支える新たな取り組みを紹介します。

 

診療科はさまざま

 早期発見の受け皿

 オレンジドクターは、日本老年精神医学会か日本認知症学会が定める専門医、または認知症に関する県の研修を修了した医師がいる医療機関が対象となります。11月1日現在、県内100の医療機関を認定。診療科は、内科や皮膚科、耳鼻科など精神科や脳神経内科だけにとどまりません。相談対応に加え、県内に13カ所ある認知症疾患医療センターなどの専門医療機関や、市町村の地域包括支援センターと相互に連携を図ります。認定機関にはプレートが送られ、5年ごとに更新します。

 取り組みの背景には、急激な高齢化に伴う認知症の人の増加があります。県高齢者基礎調査(2019年)では、認知症の相談先としてかかりつけ医を挙げる人が56・8%と半数を超えました。県高齢福祉保健課の担当者は「より身近で患者の事情を知るかかりつけ医が、早期発見の受け皿になっている」と分析します。

多職種で院内回診

 地域包括とも連携

 オレンジドクターに認定された新潟県厚生連新潟医療センター(新潟市西区)では、日々、認知症の診療を行なっています。小島直之副院長(58)は「最近、家族が心配し本人を連れてくるケースが増えている。進行した人もいるが、軽度認知障害(MCI)の人も多い」と語ります。

             新潟県厚生連新潟医療センター

                 小島直之副院長


 普段の診療でも、服薬の状況や診察日の日付などをさりげなく本人に尋ね、家族に日常の様子を確認します。「早く発見すれば、治療によって認知機能を維持する期間を延ばすことができる。周囲の人も早めに対応することで、本人がいらいらすることも減る」。有泉優子脳神経内科部長(43)は、早期発見、早期治療の重要性を改めて指摘します。

              新潟県厚生連新潟医療センター

               有泉優子脳神経内科部長


 同病院にはかかりつけ医の指導役となる認知症サポート医4人が在籍しています。サポート医を含め、精神科認定看護師、薬剤師、作業療法士らでつくる「認知症ケアサポートチーム」が週1回、院内を回診。多職種が情報を共有しながら、診療、看護のアドバイスを行います。

 また、周辺の小新、小針、黒埼の各地域包括支援センターとも不定期で事例検討会を開き、認知症に対する問題意識を共有しています。サポート医でもある西山健一脳神経外科部長(55)は、「オレンジドクターには治療のほか、地域の医療と福祉を結ぶ接着剤としての役割がある。地域全体で認知症を支えていくという意識を高めていきたい」と意気込みます。

              新潟県厚生連新潟医療センター

                西山健一脳神経外科部長                


変化を見逃さずに

 専門医へつなげる

 総合病院だけでなく、地域のクリニックや診療所もオレンジドクターに認定されています。そのうちの一つ、外来診療や訪問診療を行う山の下クリニック(新潟市東区)には長年通う患者さんが多くいます。

 かかりつけ医が認知症の相談窓口となるメリットとして、阿部行宏院長(47)は「顔見知りのため、気軽に相談できる」ことを挙げます。普段穏やかな人が急に怒りっぽくなったり、糖尿病や高血圧の人が薬を飲まなくなったりする。「その人のキャラクターや経歴をよく知っているからこそ、ちょっとした変化に気付くことができる」とかかりつけ医の役割を強調します。

                山の下クリニック

                 阿部行宏院長


 「認知症の人は増加しており、専門医だけでは対応できない。本人と家族に寄り添い、必要な時に専門医につなげることがかかりつけ医の役割」と阿部院長。「専門外の医師が認知症に対する意識を高め、専門医、そして地域の福祉・介護関係者と連携を密にする必要がある」と力を込めます。

 県高齢福祉保健課は、「まずは制度を知ってもらい、気軽に相談してもらうことで本人、家族の不安解消につなげたい」とした上で、医療機関の参加を促し、相談窓口の裾野を広げていきたい考えです。




 










 











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