にいがた健活フェス「女性の健康」(3月9日)
- ke-yamamoto
- 4月17日
- 読了時間: 5分
本年度の健寿プロジェクトのフィナーレを飾る「にいがた健活フェス」が3月9日、新潟市中央区の新潟日報メディアシップで開かれました。「女性の健康」をテーマにした「にいがた健活講座」や、個人、法人の健康づくりの取り組みをたたえる「にいがた健活アワード2024」の表彰式・健活トークなどが行われ、参加者は会場を巡りながら、健康増進のヒントを探りました。

にいがた健活講座「乳がん予防と検診 ~未来のために今、できること」
にいがた乳腺クリニック
長谷川美樹院長

はせがわ・みき 2004年、新潟大学医学部医学科を卒業。同大医歯学総合病院腫瘍センター特任助教、新潟県立がんセンター乳腺外科医長などを経て「にいがた乳腺クリニック」を新潟市中央区に開院。日本乳癌学会乳腺専門医、日本超音波医学会超音波専門医(乳腺領域)。乳がん患者会「あけぼの新潟」の顧問医も務める。
生活習慣改めリスク低減
がんは国内の死因第1位で、年々増えています。中でも乳がんは、女性のがんの中で最も多く、生涯で9人に1人がかかり、罹患(りかん)数も死亡数も増え続けています。
かつて乳がんは40代でなる人が多く、高齢になると減るといわれていましたが、現在は中高年、特に40代後半から60代後半の罹患数が大きく増えました。高齢化により、高齢者の乳がんは今後も増えると予想されています。
「科学的根拠に基づくがん予防」(国立がん研究センター発行)によると、がん予防のターゲットになるのはたばこ、お酒、食生活、身体活動、体重の五つに加え感染です。禁煙やお酒を控えるなど、感染を除く生活習慣改善法を実践すると、女性はがんになる危険性を37%減らすことができます。
減塩心掛けて体動かす
食事では、減塩が最も重要です。野菜や果物を積極的に取りましょう。「〇〇を食べてがん予防」にだまされてはいけない。偏らずバランスよく食べることが大切です。(必要な分量の食材が一式そろった)ミールキットを使ってみるのもお勧めです。
身体活動は、家事や育児などで動くことも含まれます。近い距離の買い物なら自転車や歩いて行くなど、日常生活の中で体を動かす時間を長くしましょう。太り過ぎは当然駄目ですが、実は痩せすぎの方がよくない。体格指数(BMI)の適正体重を維持してください。
乳がんは、早期に発見し治療するメリットが大きい病気なので、40~69歳の女性は2年に1回、マンモグラフィー(乳房X線検査)による検診が推奨されています。70歳以上でも元気な人は検診を受けた方がよいです。
なお、マンモグラフィー以外の検査は乳がん死亡者を減らせる有効性が分かっていませんが、エコー(超音波検査)は日本での臨床試験の結果、40代女性に対してマンモグラフィーに追加すると乳がんの発見が約1.5倍に増えました。これは明らかな利益です。一方で乳がんではないのに精密検査が必要だといわれる人も約1.5倍に増加。死亡者を減らせるかはまだ不明です。利益と不利益を比べ、自分にとってプラスかを考えて受けることが大切です。そして、有効性が証明されている検診を、精度管理がしっかりされている施設で受けましょう。
乳房意識し変化を発見
乳がんは、検診で見つかる人と同じくらい、自分で見つける人も多いです。そのためには、日ごろから自分の胸の状態に関心を持つ「ブレスト(乳房)・アウェアネス(意識)」が大切です。①自分の胸の状態を知る②気を付けなければいけない乳房の変化を知る③乳房の変化を自覚したら次の検診を待たずにすぐに医療機関へ④40歳になったら定期的に乳がん検診を受ける―。この四つを全て行うことが大事です。
乳がんになる危険性として最も影響が大きいのは、自分や血縁者の乳がんの既往です。母や姉妹、娘に乳がんの人がいる場合は約2倍、祖母やおばだと約1.5倍のリスクがあります。
また、遺伝性乳がんは乳がん全体の約5~10%ですが、その半分を占めるのが「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」です。過去に乳がんになった人などは保険診療で検査ができます。
私を含めた全国の乳腺科専門医有志が作成したユーチューブ「乳がん大辞典」も参考にしてみてください。
参加者の声
乳がん検診の最新の検査方法がわかりとても参考になりました。これからも自己触診と共に、検診を受けていきたいと思ったし、家族、その他の人々にも話したいと思いました。(60代女性)
2年に1回の乳がん検診ももちろん大事ですが、何か異変に気付いたら検診を待たずに受診することが一番なのだと感じました。日々の生活習慣も影響してくるので気を付けたいです。(40代女性)
健活アワード2024 表彰式・健活トーク
健康寿命延伸へ活動紹介
健活講座に続く第2部では、「にいがた健活アワード2024」表彰式が行われ、個人と法人、それぞれの部の受賞者に賞状と副賞が贈られました。

受賞者も参加した「健活トーク」では、個人の部最優秀賞の団体臨時職員、品田浩一さん(新潟市中央区)、法人の部最優秀賞のゆきぐに信用組合(南魚沼市)の森下健常勤理事、審査委員長の佐藤敏郎・新潟医療福祉大学教授、審査委員のラジオパーソナリティー、遠藤麻理さんが登壇。工夫を凝らした健康増進の取り組みをテーマに意見交換しました。

品田さんは、1コマ3分間のエクササイズを始めるきっかけについて紹介。「区の糖尿病予防セミナーに参加し指導を受けた。血糖値を下げるため、スクワットやストレッチなど、1コマ3分の運動を組み合わせて行ったり、早食いを直したりした結果、血糖値が改善した」と成果を披露しました。
一方、ゆきぐに信用組合は、心身の健康を目指す「ウェルビーイング委員会」を立ち上げ、職員の健康増進や取引先企業の健康経営、地元自治体と連携したウオーキングキャンペーンといった地域を巻き込んだ活動が高く評価されました。
森下常勤理事は「地域住民の参加促進が一番の課題だったが、地道にお客さまのところへ行き勧めた。たくさん参加者を集めた職員を表彰し、やりがいを高めた」とこれまでの歩みを振り返りました。
これに対し遠藤さんは、更年期障害による体調不良の際、男女を問わず休暇を取りやすくする組合の取り組みについても称賛しました。佐藤教授は「運動することで、脳卒中や心臓病を防ぐ効果が働く。受賞者の活動を周りの人たちに広げ、健康寿命を延ばしてほしい」と総括し、期待を寄せました。

「健活ブース」にぎわう
みなと広場では、メディアシップの健康サービス「ケンシェルジュ」による骨盤底筋トレーニング体験などが行われ、にぎわいました。また、いり大豆やキムチ、ラベンダーの精油なども並び、来場者の興味をひいていました。

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