健康増進に向けて理解を深める「にいがた健活フェス」が6月24日、新潟市中央区の新潟日報メディアシップで初めて開かれました。運動とメタボ対策をテーマに、にいがた健活講座が開かれたほか、ブースやミニセミナーなど多彩な催しが行われ、多くの参加者でにぎわいました。
にいがた健活講座「みんなで考えるウェルビーイング~運動とメタボ対策で健康生活~」
新潟大学人文社会・教育科学系
村山敏夫准教授
むらやま・としお 1973年、十日町市生まれ。新潟大学大学院修了。応用健康科学、地域デザインなどを研究。SDGsの推進と普及、ライフイノベーションにも力を入れる。日本体育スポーツ健康学会、日本体力医学会、地域デザイン学会などに所属。
健康寿命延伸のこつを探る「にいがた健活講座」では新潟大学人文社会・教育科学系の村山敏夫准教授が講師を務め、運動の効果や腸と運動の関係などについて解説。実践講座では脂肪燃焼についても語り、タオルを使った体操も紹介しました。
働く世代 まず歩くことから
日本人の座位時間は、世界最長の7時間。特に、働き盛りの30~50代が歩いていません。
長時間の座位は寿命を縮めます。座位時間が長い、歩かない人は、糖尿病のリスクが高く、心臓病などで死に至りやすい。一番怖いのは原因が分からない致死率が高いことです。
重要なのは1日3回、1~2分、活発に動くことです。それだけで死亡リスクが減ります。例えば、散歩している人は1~2分、階段を上ってみる。運動嫌いな人でも1分なら我慢できるのではないでしょうか。
老化は脚からきます。お尻も含めた下半身の筋肉は、全身の筋肉の6~7割を占めます。横断歩道を青信号で渡り切れない、家の中でつまずいたり、滑ったりする、片脚立ちで靴下を履けないなど、どれか1つでも当てはまると、運動機能が低下した状態「ロコモティブシンドローム」かもしれません。改善のためにも立って動きましょう。
運動後は思考力の高まりも
歩いたり、走ったりする有酸素運動は脳にもよく、記憶をつかさどる海馬が成長します。ただし、1回だけでなく、続けることが大切です。そうすれば、記憶力や認知能力を高める細胞が増え、神経の結合が促されます。
運動すると、筋肉の刺激が脳に伝わり、快く感じるドーパミン、心を穏やかにするセロトニン、やる気が出るノルアドレナリンといったホルモンが分泌され、感情が豊かになります。
さらに、運動後は脳の血流が増加するため、思考力や集中力が急激に高まります。運動後の学習が成績アップのポイントです。
脳と腸は互いに密接に影響を及ぼし合う関係にあります。ストレスを感じて、おなかが痛くなった経験はありませんか。これは脳が自律神経を介して腸にストレスの刺激を伝えたから。逆に、腸のコンディションが悪いと、脳が不安を感じるなどします。
継続には食習慣も見直しを
筋肉と腸も関係しています。運動すると、筋肉から「マイオカイン」が分泌されます。これは、骨格筋から分泌される生理活性物質の総称です。腸をはじめ、さまざまな臓器の機能を調節するほか、蓄積した脂肪を燃焼させたり、血管の老化を防いで動脈硬化のリスクを下げたりする重要な物質です。
マイオカインの分泌量を増やすには、ちょっと頑張る運動が必要です。
三日坊主で運動が続かないという話を聞きますが、それは腸の調子が原因かもしれません。やる気を持続させたいなら、食習慣を見直し、みそ汁などの発酵食品を取って整えましょう。
まずは動くこと。30分間、一生懸命やらなければいけないわけではなく、1分でOK。デスクワークの途中、ちょっと立って背伸びをする。実は、この動きが重要な筋肉と部位を刺激し、ほぐしています。
今回の情報や考え方を家族や近所の人に話し、広げてください。自分だけでなく、周りと一緒に健康になっていただきたいです。
実践講座 脂肪燃焼のメカニズム説明
実践講座で、村山先生は「筋トレをすると成長ホルモンなどが分泌され、中性脂肪を分解します。その後、有酸素運動をすると効果的」と脂肪燃焼のメカニズムを説明。誰でも簡単にできる運動として村山研究室の学生が考案した、タオルを使った「パーティー体操」を紹介し、参加者は音楽に合わせて体を動かしていました。村山先生は「人とつながることが長生きの秘訣」と仲間と共に体操することを勧めました。
【みなと広場】栄養や薬テーマでセミナー
フェスでは、1階みなと広場に新潟県保健衛生センターや新潟医療福祉大などがブースを出し、握力測定や健康相談などに応じていました。新潟県栄養士会によるメタボ対策に役立つ栄養の話や、しなの薬局グループによるお薬の正しい飲み方のミニセミナーも行われました。
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