にいがた健活講座「はじめよう!お口の健康づくり~歯周病とむし歯予防のポイント~」
日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座
両角祐子准教授
もろずみ・ゆうこ 1995年日本歯科大学新潟歯学部卒、99年同大学大学院新潟歯学研究科修了。同大新潟生命歯学部歯周病学講座講師などを経て、2010年から現職。日本歯周病学会専門医、日本老年歯科医学会専門医・指導医。
定期受診によるメインテナンスが重要
いきいき健やかに暮らすためのヒントを探る「にいがた健活講座」が6月19日、新潟日報メディアシップ(新潟市中央区)で開かれました。日本歯科大学新潟生命歯学部の両角祐子准教授が講演。いつまでも自分の歯で食べる楽しみを味わえるよう、歯やお口のケアの大切さを語りました。
歯を失う2大理由は、歯周病とう蝕(むし歯)でどちらも細菌の塊「プラーク(歯垢)」が原因です。
歯周病は歯を支えている周囲の組織、歯茎(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊されていく病気で歯肉炎、歯周炎の総称。糖尿病や認知症などの全身疾患とも関係しています。歯がぐらぐらする、起床時に口の中がネバネバするなどの症状がある人は、歯周病の可能性が高いです。
検査ではプラークの付着状態や、歯と歯茎の間にある歯周ポケットの深さなどを調べます。ポケットが深ければ、歯周病が進行している可能性があります。出血も大事なポイントです。
歯周病が原因のむし歯も
治療の第1ステップはプラークを取り除く「プラークコントロール」。歯石(プラークが固くなったもの)も除去してもらいます。これらで炎症が改善し、ポケットが浅くなっていきます。歯周病になったから終わりではなく、現状から悪化しないようにする、さらには改善を図ることができます。良い状態の維持のために、定期的に歯科を受診し、メインテナンスを受けることも重要です。
大人のむし歯は、歯の付け根のむし歯「根面う蝕(こんめんうしょく)」が多いです。歯周病などが原因で歯肉退縮(歯茎が下がる)が起きると、歯の根の部分が露出。そこにむし歯の菌が付着し、根面う蝕になります。歯の根の部分はエナメル質に覆われた歯の表面部分と比べ、歯を溶かす酸に弱く、むし歯になりやすいです。かぶせ物などの治療後、歯肉退縮により、そこが再びむし歯になることもあるので気を付けましょう。
自分に合うブラシでケア
歯周病とむし歯の予防に当たり、まずは自分のお口の中の状態をチェックすることが大切です。歯の数やむし歯の有無、歯周病の状態などを確認するため、歯科健診を受けましょう。
普段のセルフケアも大切です。歯ブラシは口の中で細かく動かしやすいサイズを選んでください。毛が硬すぎると歯茎を傷つけてしまうので普通、または軟らかめがお勧めです。鉛筆を持つように握り、歯に対して90度、もしくは45度の角度で歯と歯茎の際に当て、1、2本ずつ、軽い力で小刻みに動かして磨きます。
むし歯予防にはフッ化物配合の歯磨き剤が有効です。できるだけフッ素をとどめておきたいので、ブラッシング後のうがいは大さじ1杯程度の少量の水で1回だけ。寝る前の最後の歯磨きで行うと効果的です。
ただ、歯ブラシだけで落とせる汚れはお口全体の6割程度なので、歯間ブラシなど補助清掃用具の併用を。セルフケアで取れない部分は歯科医師、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアをうけましょう。この両方のケアが歯周病とむし歯の予防には必要不可欠です。
さて、歯をかみしめたり、口呼吸したりする癖はありませんか。長時間、上下の歯が接していると、歯に余計な負担がかかります。口を閉じた時に歯と歯が少し離れている状態がベスト。口呼吸でお口の中が渇くと、汚れが付きやすくなるので注意してください。
実践編:体操で口腔の機能を向上
頬を膨らませるなど、お口周りの筋肉を鍛える体操を行うと、飲み込みなどの口腔機能が向上し、唾液が出てきます。唾液はお口の中を潤し、歯をコーティングして守ります。年齢や薬の副作用などで出にくくなることもあるので、唾液腺マッサージがお勧めです。耳の前あたりにある耳下腺を4本の指で押さえ、ゆっくりと後ろから前に回します。軽い力でOKです。10回くらい行ってみてください。
お口の中の状態や、自分に合ったプラークコントロールを確認する上でも歯科を受診し、健康なお口をつくりましょう。
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