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にいがた市民大学2021認知症とともに〜安心して暮らせる社会づくり〜Vol.1 認知症フレンドリー社会

 誰もが発症する可能性がある認知症をテーマにしたにいがた市民大学「認知症とともに~安心して暮らせる社会づくり~」(全10回)が6月から9月末まで、新潟市中央区のクロスパルにいがたで開かれている。先駆的な取り組みで注目される全国の実践者や研究者らが登壇。当事者の思いを尊重した接し方や、正しい認知症の知識などについて約80人が学んだ。講座の模様を10回にわたり紹介する。第1回はDFCパートナーズ(東京)代表取締役の徳田雄人さんが、当事者が不自由なく暮らせる「認知症フレンドリー社会」について語った。


 

DFCパートナーズ代表取締役

徳田 雄人さん

とくだ・たけひと 1978年、東京都出身。東大文学部卒。2001年にNHK入局、ディレクターとして認知症の番組制作に携わる。09年に退職し、認知症に関わる活動を開始。16年から現職。認知症未来共創ハブの運営委員なども務める。



 

困りごとを知れば地域が変わる


 認知症の人の割合は年代が上がるにつれて増え、85歳以上は2人に1人がなるとされる。体の寿命が延びれば、脳機能が低下した人は相対的に増える。長寿になっていく以上、認知症の増加は避けられない。

 認知症になっても地域の中で暮らしていこうという流れは起きている。ただ、認知症の人の6割で外出や交流の機会が減っているという調査結果もある=図参照=。「券売機の機械操作が難しい」など、症状そのものが理由でない場合もある。環境面から外出の機

会が減っているとすれば、解決できる問題なのではないだろうか。

 例えば買い物では「精算に時間がかかる」「店内で必要な物が見つけられない」―。こうした課題を解くべきはスーパーやコンビニの側ではないか。交通機関や金

融機関なども、認知症の人が使う前提に立った設計はされていない。




■進む海外の取り組み

 認知症フレンドリー社会とは「ユーザーフレンドリー」の社会だ。認知症の人の視点に立ち、社会の側が改善をしていかなくてはいけない。

 英国では、国の施策として「認知症フレンドリーコミュニティ」を推進している。プリマス市ではバス会社や図書館、学校などが推進連盟に入っている。例えばバス会社は認知症の人が降りたいバス停を運転手に知らせるカードを作った。

地域別でなく、分野別の取り組みもある。スーパーマーケットではゆっくり精算できるスローレーンを設けるなど、業界ごとのガイドラインもまとめている。



■国内でも地域に変化

 国内でも取り組みはある。町田市は「私は早期に診断を受け、治療や暮らしについて主体的に考えられる」など、認知症になった「私」を主語とする16の指標をまとめた。

 企業も関われるのではないかと、地域のスターバックスでは月1回、認知症の人が地域の人や同じ認知症の人と対話できる「Dカフェ」が開かれている。認知症になっても地域貢献したいという思いに応えるため、ホンダの販売店は当事者に展示車の洗車を依頼している。

 当事者の困りごとを知ることで地域が変わり、企業が変わる。専門職には常識でも企業で働く人には分からないことも多く、課題をよく知る人と、解決する資源を持った人が接する機会が重要だ。

 自分が高齢になったときにどのような社会に暮らしていたいか。認知症から見える課題を手掛かりに、解決していけるのではないだろうか。

 ※出典:厚生労働省老人保健健康増進事業「認知症の人にやさしいまちづくりの推進に関する調査研究事業」



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