骨が成長するのは20代まで
女性ホルモンも形成に関わっています
骨というのは、細胞レベルで「壊れては作る」ということをずっと繰り返しています。成長期は作る方が上回ってどんどん骨は強くなっていき、骨密度は20代でピークに達します。30代で横ばいになると、その後は緩やかに下がっていくのですが、それは作る方と壊れる方のバランスが崩れ、次第に壊れる方が上回っていくためです。そして、骨密度が若年成人平均値の70%を切ると、骨粗しょう症と診断されます。70%というと、さほど悪くない印象ですが、30%減るだけで、骨はとてももろく骨折しやすくなるのです。
女性の場合、特に閉経後から壊れるスピードが一気に加速していきます。これは女性ホルモンが骨の形成にも関わっているからです。簡単に言えば、女性ホルモンが骨を壊す働きを抑える作用があり、女性ホルモンが出なくなると壊すサイクルの方が上回ってしまうのです。骨の成長期の10代、20代に無月経になって女性ホルモンが出ていない状態になると、若くても骨の成長にブレーキがかかります。
20代のピーク以降は、骨密度が上向きになることはありません。現状をキープするか、下がっていくカーブを緩やかにするのを目指すことになります。ピーク時の数値が低いと、同じ年齢でも他の人より骨粗しょう症のリスクが高まります。20代までに、いかに骨を丈夫にしておくかがとても大切なのです。
高齢になって骨折すると、そのまま寝たきりになるケースもよくあります。若い時はそういう未来を想像できないかもしれませんが、自分の体は替えがきかないものなので、若いうちからバランスよく栄養を取り、運動をして健康的に過ごすことが大切です。30代以降の世代も同じように健康的な生活をして数値をキープする努力をしていきましょう。機会があれば、骨密度を測ってみるといいと思います。特に若い時にとても痩せていた、無月経だった、早くに閉経したという人は骨粗しょう症のリスクが高いので、一度確認してみてください。
竹山病院 診療部長・診療支援部長
竹山 希 さん
★PROFILE★
新潟市出身。新潟大学医学部卒。日本産科婦人科学会専門医。女性ヘルスケア専門医。済生会三条病院産婦人科医長などを経て2009年より現職。思春期から老年期まで女性の一生をサポートできる産婦人科医を目指している。
Comments