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健康経営サポート会員交流会

 「健康経営サポート会員交流会」が2月21日、新潟市中央区の新潟日報メディアプラスで開かれました。新潟青陵大学大学院の中平浩人教授が「健康経営を通じて目指すこと」と題し基調講演。「にいがた健康経営推進企業マスター2023」によるパネルディスカッションも行われ、参加者は健康経営の意義や推進のヒントを学びました。



パネルディスカッション 「健康経営のススメ」


運動施設の情報 SNSで社員共有


(株)サカタ製作所 長岡市

取締役総務部長

樋山智明氏


 健康に対する社員の関心度を上げようと「運動」「喫煙」「食事」「睡眠」「健康診断」の五つの指標を掲げています。理想と目標を設定し現状を把握。そのギャップを埋めるため、さまざまな対策を講じています。

 例えば運動では、ジムや体育館を紹介し、社内報や交流サイト(SNS)で情報を共有しています。卒煙者の表彰や禁煙外来費用の補助(最大2万円)のほか、会議室を昼寝場所として活用。月に1回、昼食時に野菜を一品提供しています。

 また、心の健康も重要です。精神疾患で休んでいた人には、どのような行動が復帰につながったのかを聞き取ります。

 健康経営だけでなく、ワークライフバランスや仕事の標準化・効率化などに取り組むことで相乗効果が生まれ、持続可能な社会に貢献することができます。


段階的に禁煙促し喫煙率を下げる


旭カーボン(株)新潟市東区

品質経営・リスク管理部長 

田村雄一氏


 当社は従業員の7割が40代以上と平均年齢が高く、大半が車で通勤しています。このため高い喫煙率や運動習慣の低さといった健康課題がありました。「従業員一人一人が活躍できる職場を実現したい」との思いから、2019年より健康経営を推進しています。

 社長が健康宣言を行い組織を新設、目標と健康課題を明確化しました。喫煙対策や生活習慣病対策など六つの重点施策について取り組んでいます。 

 このうち喫煙対策は就業時間の禁煙、事業所内の喫煙所廃止、構内全ての喫煙所廃止と段階的に進めました。22年には目標の喫煙率25%以下を達成、現在も継続しています。

 また、生活習慣病対策では、お弁当のカロリー表示や社内のウオーキングイベントを実施しました。23年は運動習慣のある人が増加した結果、体格指数(BMI)25以上の人の割合も減り、改善しました。


減塩、低脂質メニューを食堂で提供


阿部幸製菓(株)小千谷市

取締役

阿部佐織氏


 2022年3~9月、国立がんセンターの喫煙対策プログラムに基づく卒煙キャンペーンを実施しました。6人の挑戦者が卒煙宣言書を作成。禁煙のニコチンパッチやガムなどの購入費(上限1万5千円)を補助したほか、上司らの励ましもあり、全員が禁煙に成功しました。

 また、社員食堂では体と心の健康に配慮した献立として月に2回、減塩や低脂質のメニューを用意しています。レモンやカレー粉で味付けし塩分を減らしたり、白身魚やエビを使いカロリーを抑えたり工夫しています。

 このほか、居心地の良い職場環境づくりにも取り組んでいます。休憩室に向かう通路にホワイトボードを設置し、対話型の掲示板にしました。その名も「あべたく(阿部宅)」。新入社員の歓迎コメントなど自由に書き込みができ、社員のコミュニケーションを図っています。


健康経営ポイント


ファシリテーター 

(株)アイセック

代表取締役CEO

木村大地氏


○「不健康は一日にして成らず。健康も一日にして成らず」トップのコミットメントとともに、長期的な戦略を作ること。

○事例を参考にして自社に適した取り組みを考え実践すること。

                                                                              

基調講演


新潟青陵大学大学院

中平浩人教授


自社の課題を把握、地に足をつけ推進


 健康経営には医療費の経費削減、生産性の向上や優秀な人材の確保といったメリットがあります。広く企業に浸透しつつありますが、「何かしなければいけないが、何をしたらよいか分からない」から「とりあえずまねてみよう」や「産業保健を積極的に実践し、自社に必要な課題にも対応している」まで企業によってステージは異なり、「無関心型」「産業保健重視型」「健康経営重視型」などのタイプに分かれます。

 また、導入に当たっては、「効果が見えにくい」「社員の関心が低い」「人的リソースの不足」という悩みが聞かれますが、データによる見える化、トップの積極的な発信や保険者とのコラボヘルスなどで対応します。

 健康経営を効果的に推進するためには、自分の会社に何が必要か分析してターゲットを絞り、優先順位を付けます。限られた予算の中、まねをするだけでは解決になりません。まねるなら、同業で同規模の事例を参考に、地に足をつけ取り組むことをお勧めします。自社の課題は、身近な産業保健の健康診断・ストレスチェックの分析などを通し把握できます。実は、健康経営も産業保健もプレゼンティーズム(心身の不調による出勤時の生産性低下)対策を推進しています。そもそも企業には、産業保健上の社員の健康管理義務と健康(安全)配慮義務があります。つまり、健康経営は日々の積極的な産業保健活動の積み重ねなのです。

 今後は、自分の会社だけでなく、会社の発展が社会の発展に寄与することが期待されます。在職中に働きがい、生きがいを持つことは愛社精神と退職後の社会的幸福につながります。そのような人が増えれば、企業の利益は増し、成長する糧となります。何より、健康経営は人生の最期まで健康で農かに生きるための士台づくりといえます。














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