健康経営サポート会員を対象とした第4回オンラインセミナーが1月24日、開かれました。喫煙対策をはじめ健康経営に取り組む県内外の企業関係者が実践例を紹介。参加者は先進的な事例に耳を傾けました。

県内先進事例
小柳建設株式会社 三条市
●総合建設業
●従業員 221人
「禁煙手当」を導入、喫煙率下げる

当社は「働く人楽にしたい」という経営者の思いから、多様な「人財」が安心して活躍し続けられる職場環境を目指しています。それは建設産業全体の担い手不足という課題解決にも直結すると考えます。
喫煙に関してはもともと、受動喫煙や臭いに加え、「喫煙者のみたばこ休憩がある」など労働環境の不公平感が指摘されていました。2020年、社内で喫煙に関するアンケートを実施。労働安全衛生委員会で喫煙のルールを見直し、敷地内を禁煙にしたことで、非喫煙者の不公平感を解消しました。
さらに23年6月には「禁煙手当」を導入しました。たばこを吸っていない人も含め月2千円を支給する制度で社員の7割が申請、このうち17人の喫煙者が禁煙にチャレンジしました。喫煙率は31%から21%まで低減しました。
また、女性特有の健康課題に対しては、社外から講師を招き、生理の基礎知識を学ぶ「生理研修」を実施しています。22年にはリーダー層以上、23年には現場で仕事に従事する社員が受講しました。
男性からは「適切な気遣い、対応が必要だと学ぶことができた」、女性からは「生理は個人差があることを改めて学び、相互理解が必要だと感じた」などの声が寄せられました。
このほか、「仕事や私生活の不安やトラブルを解消し、安心して働いてもらいたい」との思いから、相談窓口を設けています。仕事上のハラスメントは外部機関へ、相続や消費者問題といった私生活のトラブルは当社の顧問弁護士に無料で相談できます。
これらの取り組みの結果、月平均残業時間1.7時間、男女育休取得率100%など一定の成果を上げています。
県外先進事例
オムロン太陽株式会社 大分県別府市
電気機械器具製造業
●従業員 73人
3人一組 励まし合って「卒煙」

電気機械器具を製造する当社は1972年、日本初の障がい者福祉工場として創業しました。従業員に占める障がい者(身体、知的、精神)の割合は46.6%。多様な障がいに対応した「ユニバーサルものづくり」と、誰もが活躍できる職場を目指しています。
健康経営の基本となるのは運動、睡眠、メンタルヘルス、食事、たばこの指標を示したオムロングループの「Boost(ブースト)5」です。「週2回以上の運動」「精神的なストレスとうまく付き合う」などの目標をベースに、当社では障がい者への理解、コミュニケーションの手段の要素も取り入れています。
実際、身体障がいがある方は、糖尿病などの発症リスクが健常者の2倍といわれています。健康で長く働いてもらうことは重要であり、さまざまな活動を通し、従業員の健康意識を向上させています。
その一つがグループ全体で取り組んだ「卒煙マラソン」です。3人一組(喫煙者2人、非喫煙者1人)で3カ月間、禁煙に挑戦。達成したら健康サイトのポイントがもらえるなど特典を付けました。1人での禁煙は難しいですが、定期的に状況を確認し、励まし合うことで「卒煙」ができました。
また、たばこを吸わない「スワンタイム」では、1日2回、休憩時間の10分間、禁煙を実施しました。前年度行った「スワンデー」は「1日禁煙は喫煙者の負担が大きい」ため、方法を変えたところ参加率は75.5%と10%以上アップ。たばこをやめ、休憩時にお菓子やあめを食べることで、禁煙者、喫煙者の交流促進にもつながりました。
このほか、障がいの有無にかかわらず参加できるスポーツ大会の開催や、ウオーキングアプリを利用した大分県の職場対抗戦にも参加しています。
■参加企業へのアドバイス
小柳建設(株)
月岡良一 総務部長
社員の声を聞きながら、お互いに納得した上でルールをつくることが大切です。
オムロン太陽(株)経営管理グループ人事総務部チーム長
佐々木和宏
「健康に良い」だけでなく、特典も必要。段階的に取り組むことで効果があります。
■健康経営ポイント
担当部署だけでなく全社で推進
1回だけの取り組みにしない
社員には常に周知徹底
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