◎トークセッション(前半)
藤岡氏「社員が大切」第一歩
浅野氏 積極的に情報を開示
藤田氏 無理をせず毎年継続
木村 県内では、「これから健康経営を始めたい」という企業も多い。まずは、どのような情報を開示するのか伺いたい。
藤岡 健康は(人材を資本と見なす)人的資本のど真ん中にある。健康経営度調査を見れば、企業が何をすべきなのか分かるが、まずは「従業員を大切にする」という理念を経営方針に盛り込むことが第一歩だ。
浅野 日本の企業は伝統的に人を大切にしてきた。開示する手段がこれまでなかったが、現在は競争領域が有形資産から人的資本に移っている。いかに良い人的資本があるか、将来的に能力を発揮する施策をしているかが、企業の成長性を決めていく。開示した方が圧倒的に得であり、できる部分からどんどん発信してほしい。
藤田 中小企業では、現在取り組んでいることや経営者、担当者の思いなど情報を開示してきた。人的資本経営という難しく聞こえるが、中小企業はこれまでも人を財産と捉え大切にしてきた。
木村 これから健康経営を始める際のポイントは。
藤岡 外部だけでなく、社員向けに健康経営のメッセージをきちんと出していくことが大事だ。
浅野 健康経営は経営者や担当者、社員らが協力する必要がある。そのためにも、コミュニケーションが重要であり、「どのような健康経営が会社にとって良いのか」を議論してもらいたい。
藤田 経営者と従業員がよく話し合った上、まずは「健康経営宣言」をしてほしい。事業計画の中に人材マネジメントの進め方を落とし込み、無理のない範囲で毎年続けることが大切だ。
◎トークセッション(後半)
曽根氏 制度の形骸化に懸念
田中氏 自社のデータ知って
富山氏 効果や変化発信大切
木村 健康医療データ活用の意義と本県の潜在力を聞きたい。
曽根 同じ企業にずっと勤める人は健診データが蓄積されていて、糖尿病などのリスクを予想できるようになっている。健康経営でも生かさない手はない。データの一元化は企業にも県民にもメリットは大きく、本県はデータがまとまりやすい環境がある。
木村 健康経営の普及のために強化したい点は。
富山 にいがた健康経営推進企業の登録は事業所の1%に満たない。制度が分からなかったという声が一番多く、事業所にどうアクセスするかがポイントだ。健康経営での効果や変化をデータで示し、発信することも必要。登録後のサポートも大切だ。
木村 これから取り組む企業にメッセージを。
田中 事業主は健康データを知らなければ何に取り組んだらいいか分からない。第一歩として「健康経営宣言」にエントリーしてもらいたい。新潟支部では独自に健康づくりのメニューを100種類作っている。
木村 健康経営を始める企業を増やすポイントとなるのはインセンティブだ。
田中 国の優良法人の中小規模部門は建設・製造・運送業が半分を占める。同業者からも一般からも認められる事業所になるインセンティブに県が主体となって取り組んでほしい。
富山 県の登録企業は入札の加点のほか、ハローワークの求人票にも表示できるようになった。事業所の声を聞きながら進めたい。
曽根 例えば「インセンティブのために体操だけすればよい」というのでは仕組みが形骸化する。職場状況に合わせ、レベルを上げた取り組みをしてほしい。
Comments