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出張にいがた健活講座(11月9日)

 健康寿命延伸のヒントを探る「にいがた健活講座」が11月9日、新潟市中央区の市産業振興センターで開かれました。共生社会の実現をテーマとした「福祉・介護・健康フェア2024in新潟」との連動企画で、出張講座は昨年に続き2回目となります。会場ではさまざまなイベントが繰り広げられ、多くの人でにぎわいました。健活講座では、新潟大学大学院医歯学総合病院の猪又孝元副院長が「いのちを守る ~あなたの心臓、大丈夫ですか?~」と題し講演。心不全のメカニズムや予防法などを説明しました。また、新潟県の「健康立県にいがたメインアンバサダー」を務める女優でヨガインストラクターの松本莉緒さんも登場。ヨガ体験を交えながら女性の健康について語りました。

 

  新潟大学大学院医歯学総合病院

 猪又 孝元 副院長

(新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科学主任教授)



 いのまた・たかゆき 1965年、糸魚川市生まれ。新潟大学大学院修了後、独マックスプランク研究所に留学。帰国後、北里大北里研究所病院循環器内科教授などを経て、2021年に新潟大学大学院教授に就任。日本心不全学会理事、日本心臓リハビリテーション学会理事などを務める。専門は心不全。

 

血圧管理 リスク軽減を


 心臓は心筋という筋肉でできていて、1分間に5リットル、一升瓶約3本分の血液を死ぬまで全身に送り続けるポンプの役割をしています。しかし、心臓は再生能力がない上、鍛えられません。元気で長生きするためには、生まれ持った心臓をいかに目減りさせずに生きるかに尽きます。

 心不全と聞くと、急に心臓が止まるイメージを持つ人が多いですが、そのような急性心不全は非常にむしろ少ない。20年くらいかけて徐々に悪くなっていきます。

 実は、心臓はやりくり上手な臓器で、心臓の筋肉はゴムに似ています。ゴムは伸ばせば伸ばすほど、縮む力が強くなりますが、心臓も同じです。でも、伸ばし過ぎると、伸びきって縮まなくなる。そして動かなくなる状態が心不全です。

 

息切れ、むくみに要注意

 

 いろいろな定義がありますが、心不全はだんだん悪くなるもので、突然、起きない。もともと素地があって心臓が傷み、表立った心不全が出て、不幸にも命を落とす。症状が出るかどうかぐらいで見つけることができれば、医師によって心臓は守れます。

 心不全を見つけるポイントは息切れです。息切れを起こすと、大体の人は肺の病気や年のせいだと思いますが、原因の半分は心臓。むくみも重要です。朝は軽いが夕方になるとむくみが増したり、左右の足でむくみが違ったりする場合は、心臓ではなく多くはリンパ管など血管系の問題です。

 靴ひもを結ぶ際や農作業でかがむと息苦しい「ベンドネア」、寝入りばなに横になると息苦しく、起き上がると楽になる「夜間発作性呼吸困難」は入院が必要です。診察では、立っている時に首の皮膚が揺れる「頸静脈怒張(けいじょうみゃくどちょう)」の有無を確認します。

 また、血液検査でBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)を計ることも心不全の発見に有力です。BNP100以上は心不全の可能性が高く、200以上は、ほぼ治療が必要な心不全と診断されます。(BNPの副産物である)「NT―proBNP」の場合は、BNPの4倍の数値が目安です。健康診断の項目にはないので、心配な人は循環器内科で検査してください。心臓の形状を調べる心エコー検査も有効です。

 心不全や重症な脳梗塞をもたらすのが、厄介な不整脈の一種である心房細動です。見つけるためには、自分で脈を測りましょう。おかしいと思ったらすぐに、脈を測ることが大事です。10秒間測り6倍した数が心拍数で、1分間に60~80回ほど、規則的であれば正常です。全ての脈の乱れが危険とは言いませんが、心臓の病気の入り口になるので測るようにしてください。

 動脈硬化が原因の心筋梗塞や高血圧による心臓肥大は心臓を傷めるため、心不全の予防には血管を守ることが大事です。そのためには、生活習慣病の管理と運動が重要となります。生活習慣病の中で心血管リスクを高めるのは圧倒的に高血圧。まずは、しっかりと血圧を下げてください。最高130、最低80以下を目安にすれば、心臓血管病のリスクは確実に減ります。

 

脈拍を意識 散歩がお勧め

 

 家での血圧測定は、朝食の「いただきます」の直前に測ってください。高いのが嫌で何回も測る人がいますが、大体は1回目の血圧が正しいです。そして、若いうちから血圧管理を心掛けましょう。

 心臓が悪い人の運動は安全対策が肝心です。過去1年間に2回転んだ人は転倒リスクが高いので、先生と相談して行ってください。

 お勧めは散歩です。心臓にいい散歩の心拍数(1分間)は安静時プラス30です。人と会話が途切れない、1人で歌って息が切れない程度を目安にすると、安全かつ有効です。

 

メインステージから

健康立県にいがたメインアンバサダー

松本莉緒さんトーク

 まつもと・りお 1982年生まれ。女優として「聖者の行進」「モテキ」などのドラマや映画、CMに多数出演する。現在はヨガインストラクターとしても活躍中。2022年末に新潟県に移住した。1児の母。

 

ヨガ通して心も健康に


 健康のために意識していることは、食べる、寝る、動く、そして、心から笑うことです。特に、心から笑うことが重要なポイントだと感じています。

 ヨガは心の安定を支え、呼吸を意識するものです。私は10年ほどやっていますが、少しのことで心が揺らがなくなってきました。子どもに対しても安定して接することができ、イライラすることが少なくなってきました。

 自分の強みをアピールすると、その強みに合った人が引き寄せられ、友だちが増え、より楽しい時間が生まれます。新潟の方は自分の武器である強みを言わず、隠したままでいるところがあります。すごくもったいない。でもヨガを始めると、自分と向き合う中で輝いているところに気付き、それを自然と出せるようになります。笑顔も輝きます。遠慮深さや奥ゆかしさなどを強みに変え、どんどん外に出せるようになるといいなと思っています。

 ヨガは生活の中でできる動き、呼吸法なので、何歳から始めても遅くないです。健康立県にいがたメインアンバサダーとして、ヨガを通して心を健康にし、一緒に生き生きと年を重ねていきたいです。

 

多彩な催し にぎわう 


 フェアではメインステージのほか、歯科医・歯科衛生士や薬剤師などの仕事を体験する「こどもの職業体験コーナー」や、障害者施設の利用者が育てた野菜や加工品を販売する「農福マルシェ」(同時開催事業)といったイベントが行われました。医療、介護、健康維持・予防、生活支援の各ゾーンでは、多くのブースが並び、参加者は思い思いの時間を過ごしていました。






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