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子どもの食物アレルギー

発症を恐れすぎると逆にリスクが高まります

適切な離乳食を5~6カ月から始めましょう



 最近、食物アレルギーについて過度に不安を抱くお母さんが増えているように感じます。そして、発症を避けるには離乳食の時期を遅らせる、授乳中の母親が特定の食材を避けるといったことを信じている人もいますが、医学的には効果がないことが分かっています。関連性が明らかになっているのは、生後12カ月までにアトピー性皮膚炎を発症すると、3~4歳での食物アレルギーの発症リスクが上がるということです。これは皮膚からアレルギー物質が入ることで発症するメカニズムで、逆に言えば乳児期早期のアトピー性皮膚炎をしっかり治療すれば発症リスクは下がります

人の体は食べることで、免疫細胞の多い腸管を介して、食品への耐性がついてきます。食物アレルギーの代表食材でもある鶏卵も、離乳食の課程において段階的に食べた人(しっかり加熱する必要はあります)は、除去した人よりも鶏卵アレルギーの発症が少ないのです。本来、子どもが成長していろいろな食べ物を食べるようになる様子を見るのは、育児の楽しみです。過剰に不安を抱いて食べ物を制限するのではなく、まずは離乳食を5~6カ月から始め、遅らせないことが重要です。血液検査も行われますが、実際にアレルギー症状が出るかどうかは食べてみなければ分かりません。学校での食物アレルギーの事例報告を見ても、半数はアレルギーであることが分かっていなかったケースです。逆に言えば、家庭で食べたことがなかったということになるので、いろいろな食べ物を経験していくことは大切だと思います。食べさせた後におかしいなと感じたときは、まずはかかりつけ医に相談してください。

食物アレルギーの治療としては、原因アレルゲンを継続的に摂取させることで耐性獲得を目指す「免疫療法」がありますが、まだ標準的な治療法としての確立まで至っていません。自己判断で行うと危険があり、専門医の指導・観察のもとで行う必要がありますので、こちらもまずはかかりつけ医の診察を受けてほしいと思います。

 



よいこの小児科さとう

院長 佐藤勇 さん

★PROFILE★

新潟市出身。医学博士、日本小児科学会専門医。秋田大学医学部卒。1997年よいこの小児科さとう開院、2000年病児保育室よいこのもり開設。新潟県小児科医会理事をはじめ、子育て関連団体の委員も多数務めている。









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