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明日野家が聞く・健活インタビュー 「あいうべ体操」

 ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。

 明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。


口の健康 機能向上が肝心 動かして

明日野家が聞く | にいがた健康寿命 | 新潟日報

 

 人間が生きていく上で食べることとともに「息をする」ことは非常に大切です。今回は新潟市中央区の「おおむら歯科医院」の大村伸介院長が、口の機能を高める「あいうべ体操」についてお話しします。(明日野元気)




 


 おおむら・しんすけ 新潟市出身。2005年、日本歯科大学新潟生命歯学部卒。08年、新潟市中央区に開院。正しい呼吸と「あいうべ体操」を伝える息育指導士を養成する息育指導士認定講師。メディカル・デンタルペップトークドクター、ソックスアドバイザー、新潟市歯科医師会災害対策実行委員会委員長。









 

 お口の健康が全身の健康に関わると聞いたけど、どういうこと?


 お口は、食べ物や飲み物、空気など、いろいろな物の出入り口です。その入り口の環境や状況で問題が起こると、その先の体全体に影響が出てくるリスクが増えます。

 例えば、小さい時から歯並びのトラブルがあれば、大きくなっても、そのトラブルは継続しています。そしゃくや嚥下(えんげ)、会話など、お口の機能に関するトラブルは自然解決が難しく、しかも蓄積していきます。その結果、歯並びや歯周病など、お口の中だけでなく、風邪やインフルエンザなどへの免疫機能、自律神経など、全身の至る所に影響を与えます。

 お口の健康を保つには、歯磨きは当然ですが、お口の機能を向上させ、獲得できた機能を低下させないようにする取り組みが必要です。その取り組みの1つとして、お口の体操「あいうべ体操」があります。




 「あいうべ体操」って何ですか? どんなことをするの?


 あいうべ体操は、文字通り、「あ」と「い」と「う」と「べ」の口の動きをする体操です。

 本来、人間を含むほ乳類の舌は上あごにベターッとくっついているのが正しい位置で、生理学的な呼吸は鼻から吸って鼻から出す、鼻呼吸です。人間は言葉を話すために口から息を出しますが、口で日常的に呼吸をすることは正しい使い方ではありません。あいうべ体操は舌を正しい位置に置けるようにするトレーニングで、鼻呼吸に改善していきます。

 「あ」は、できるだけ大きく口を開け、目も見開く感じです。「い」は、口角を横に広げ、首の筋がピーンと伸びるのを意識してください。できれば、歯は合わせない。「う」は、唇を前に突き出すイメージ。できないお子さんは両手の人差し指で口を両脇から挟むようにサポートしてください。「べ」は、自分のあご先をなめるように舌を出します。「あ・い・う」をゆっくりと各1秒ずつ、「べ」はちょっと長めに行います。これを1セットとし、1日30セットが目標です。あごが痛い人は「い」と「う」のみを繰り返してください。筋肉が温まる入浴中に行うのがお勧めです。朝昼晩に10セットずつでもOK。毎日続けることが大切です。声を出さなくてもいいので、飛沫(ひまつ)を飛ばさず、いつでも、どこでもできます。

 行う時の姿勢も大事です。隣の人に頭を真上からグーッと押してもらった時にそれを押し返す位置を目安にするといいですよ。





 鼻呼吸って大事なんだね! 続けるといいことがあるの?


 例えば、幼児期や小学生などでは舌が上あごにしっかりくっついた正しい位置にあると、上あごの形が理想的なUの字に成長が促されます。舌が正しい位置になく、口呼吸をしていると、前に出てきてVの字になります。そうなると、歯がしっかり並ばないし、出っ歯のような状態になって、上の歯と下の歯がかみ合わないようになる可能性があります。

 体の機能を正しく使うことで体が正常化していきます。機能は今や自然に身に付けることが難しいです。それを獲得するためには取り組みが必要です。子どもは正しい機能を得ること、大人は機能を落とさないことが、健康の増進とフレイル対策、病気の悪化予防も含めて重要になります。鼻呼吸は年齢を問わず、免疫機能や自律神経系への効果が期待できます。あいうべ体操を取り入れた九州の小学校では、インフルエンザのり患率や欠席日数が減ったというデータがあります。また、副交感神経が優位になるので気持ちが落ち着き、睡眠の質の向上効果も望めます。

 あいうべ体操という取り組みを通して、機能を獲得し維持できる体づくりをしていきましょう。継続することで、お子さんは歯並び、大人はあごのたるみ対策になります。高齢者の誤嚥(ごえん)予防と対策にも有効ですよ。





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