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明日野家が聞く・健活インタビュー 「プレコンセプションケア」

 ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。

 明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。


性の違い 互いに尊重して 日々大切

明日野家が聞く | にいがた健康寿命 | 新潟日報

 

 女性だけでなく、男性も「子どもを授かる」ことには深く関わっているという考え「プレコンセプション」。妊娠だけに限らず、これからの人生をどう過ごすかを思い描くために大切なことを県央基幹病院で母性看護専門看護師、助産師を務める吉森容子さんに聞きました。

              (明日野歩)



 


よしもり・ようこ 


 1991年、国立療養所東京病院付属看護学校卒、92年、 新潟大学医療技術短期大学部専攻科助産学特別専攻修了。済生会三条病院に勤務しながら、新潟大学大学院保健学研究科博士前期課程を修了し、2014年に母性看護専門看護師の認定を受ける。専門知識を生かして女性のための専門外来「ウイメンズヘルス外来」を開き、月経痛や更年期症状など、女性の健康に関する相談や支援を行う。24年4月から現職。助産師。

 

―「プレコンセプションケア」って何ですか?

 

 男女とも、若い時から将来の妊娠を見据えて自分の健康やライフプランを考えた生活をしていくことです。コンセプションは妊娠、プレは前。つまり、妊娠前から自分の健康を考えた生活をすることが、その後の自分たちの生活の質の向上や産んだお子さんの将来に影響を与えます。

 日本はBMI値18.5未満の「低体重(やせ)」女性が多く、女性のやせは、低出生体重児の出生リスクとなります。日本では2500グラム未満で産まれる低出生体重児数の高止まりが続いています。低出生体重児は各臓器の機能が十分に成熟しておらず、出生後に医療ケアが必要な場合が多いです。しかも将来、生活習慣病になるリスクが高いといわれているので、次世代の健康のためにもプレコンセプションケアが必要なのです。BMI値「普通体重」の維持にはバランスの取れた食事が大切。それを妊娠してから始めるのではなく、その前から取り組むことが重要です。

 男性も自分の体を知ることが大事です。普段の食生活に気を付けることはもちろんですが、喫煙や飲酒などは不妊症の原因になるとい言われているし、風疹などの感染症は赤ちゃんに影響があります。正しい知識を持ち、将来に生かしてほしいです。






―不安な時はどうすればいいですか?


 女性の場合、月経痛が強くて日常生活に支障がある、市販薬を内服しても効かない、PMS(月経前症候群)がつらいなど、気になる症状があれば、婦人科を受診してください。ひどい月経痛を放っておいて、そのあと受診した時に、子宮内膜症が隠れている可能性もゼロではありません。子宮内膜症は不妊症の原因になることもあります。そもそも月経痛は我慢するものではないです。薬以外の日常生活についてもアドバイスできるので、我慢せずに受診しましょう。

 婦人科では、医師が問診し、症状に応じて内診や超音波検査で子宮や卵巣を診て病気の有無を判断して治療します。

 婦人科の受診はハードルが高いという人は、相談窓口のある病院に相談することから始めてみるのもいいかもしれません。





―「母性看護専門看護師」ってどんな資格ですか?


 周産期の母子や家族への支援、女性のライフサイクル全般にわたる健康への援助などを提供するための専門的な知識と技術をもった専門看護師のことです。大学院で学んだ後、日本看護協会の認定試験に合格すると認定されます。県内には私を含め3人います。

 より良い体調で妊娠経過が進むように、妊婦さんの生活や思い、家族の状況などを踏まえ、スタッフと一緒に考えていきます。

 燕市の依頼で高校生にプレコンセプションケアの講義も行っています。男女の体や月経の仕組み、体の悩み、性感染症などについて話します。講義の中で、見方によって娘に見えたり、老婆に見えたりする絵などを示しながら、「自分はこう見えたけど、あなたは違って見えたんだね」と多様性を認め、相手を思いやる気持ちが大事だと伝えています。異性・同性のパートナー、LGBTQ、みんながお互いを思いやる気持ちが大切です。そして、自分の体や性に関することを考え、自分で決められる権利があることも伝えています。





―プレコンセプションケアって大事なんですね!


 プレコンセプションケアは、妊娠・出産に関わらず、自分自身の体や、これからの人生を健康に過ごすため、全ての男女に必要なことです。まずは、ありのままの自分を大事にしてください。自分の体や心を知り、大切にしてほしいです。将来の自分やパートナー、家族のために、男女とも生活習慣を見直し健康に気を付けたり、心配なことがあれば病院を受診するなど、できることから意識してプレコンセプションケアを今から始めましょう。

 

 



 

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