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明日野家が聞く・健活インタビュー 「加齢性難聴」

 ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。

 明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。


聴力低下 認知症とも関連 補聴器を

明日野家が聞く | にいがた健康寿命 | 新潟日報

 

 「えっ?」「何だって?」―。歳を重ねていくと、次第に声が大きくなって、周りも気付くほどの大きさで会話をするお年寄りもいます。耳が遠くなる「難聴」と「認知症」にも関わりがあるということを五泉中央病院の髙橋姿院長に聞きました。 (明日野寿一)


 


たかはし・すがた 1976年、新潟大学医学部卒。聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学講座助教授、新潟大学医学部の耳鼻咽喉科学教授や医学部長などを歴任し、2014年、新潟大学学長に就任。退任後の20年から現職。博士(医学)。新潟大学名誉教授。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会参与・監事、日本耳科学会参与。




 



 ―「高齢者の難聴(加齢性難聴)」の特徴を教えてください。


 加齢性難聴とは、加齢以外に特別な原因がない難聴のことです。ほぼ左右対称に聴力が低下し、私たちが会話で使う音より少し高めの音から聞き取りにくくなるのが特徴です。耳鳴りや特定の音が響くなどの症状がある人もいます。言葉を言葉として聞き取る力が低下し、聞き返しや聞き間違えが増えます。数字が苦手で、特にサ行が弱く、7(しち)時と1(いち)時は間違えやすいです。








―受診の目安はありますか?


 個人差はありますが、聴力自体は30代から落ち始めます。健康診断などの聴力検査で異常があれば、耳鼻科を受診してください。

 耳あかの詰まりや中耳炎などの病気の有無を診察し、病気がなければ標準純音聴力検査で、難聴の可能性や種類を調べます。異常が見つかれば語音聴力検査などをし、加齢性難聴であれば補聴器が必要かを診断します。薬はありません。高度・重度難聴は人工内耳などの手術もあります。




―難聴になると認知症になりやすいと聞きましたが。


  現象として聴こえが悪い人に認知症要因が高いと、WHO(世界保健機関)と医学誌ランセットに出ました。糖尿病や喫煙など認知症に関する外的要因が、遺伝性などを除き約45%、14のリスクがある中で、最大リスクの1つは7%で難聴と言われています。

 難聴と認知機能低下の関係性は①難聴のため、聞くことに集中し過ぎて他のところが働かなくなる「認知負荷説」②難聴によるコミュニケーション障害が起きて生活意欲が低下し、社会的に孤立した結果、認知機能が低下する「カスケード説」③喫煙や糖尿病など各共通危険因子が独立して進行し難聴や認知機能低下が起きているので、互いに関係がない「共通因子説」の3説あり、①と②の仮説には補聴器が有効です。

 補聴器は、耳鼻咽喉科を受診し正確な聴こえの評価に基づいて選び、調整してください。まずは買わずに借りる。音がある生活が楽しいと感じられるところから試し、自分の生活に合わせた調整を繰り返す。脳が慣れるまで1、2カ月ほど試すのが理想的で、両耳装着が望ましいです。

 その際、認定補聴器技能者がいる認定補聴器専門店へ行くこと。検査と調整、貸し出しを重ね、納得した上で購入できます。アフターケア付きで、定期的なメンテナンスで何年も使え、生活の質が向上し、認知機能低下を防ぐ可能性が高いと思えば、高い買い物ではないと思います。新潟県では全市町村で補聴器購入費の助成制度を実施しています。これは日本でトップの実績です。




―周りができるサポートや予防対策はありますか。


 難聴は「見えない障害」です。聴こえが悪いと申し出ないと分かりません。真正面から比較的短めの文章で、「てにをは」をはっきりさせるように話してください。マスクは声がこもるので取った方がいいです。補聴器を付けている人にも同様。付けても、すぐに普通には聞けません。

 予防策は、若い時から騒音を避けることです。イヤホンなどから外に音が漏れるほどの音量で聞いていると、健康な人でも悪くなります。そこに加齢が加わると急激に落ちます。ノイズキャンセリング機能付きの物を使うといいでしょう。

 聴こえに不安があれば耳鼻科へ。「聴こえが悪い」ことは十分な診察根拠になります。補聴器が必要ならば、まずは体験してみてください。適正な物を使えば満足度も上がります。「聴こえ8030」セルフチェックを試すのもお勧めです。




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