top of page

明日野家が聞く・健活インタビュー 「片頭痛」

 ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。

 明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。


主に女性 日常生活に支障 予防薬も

明日野家が聞く | にいがた健康寿命 | 新潟日報

 

 「頭が痛くて吐き気がする」「ズキンズキンする」など、発作的に襲ってくる頭痛で仕事を休みがちになる人がいます。女性に多く見られる「片頭痛」について、長岡赤十字病院の藤田信也院長に聞きました。

              (明日野歩)




 

ふじた・のぶや 


県立新潟高校卒。1984年、鳥取大学医学部卒、90年、新潟大学大学院医学研究科(神経内科)修了。日本学術振興研究員、米ノースカロライナ州立大学研究員を経て、長岡赤十字病院に勤務。医療安全推進室長と教育研修推進室長を務め、新潟県の初期研修医の確保にも尽力している。2024年4月から現職。





 

「片頭痛」とは? どんな特徴がありますか?

 

 脳腫瘍やくも膜下出血などの病気の症状として起きる頭痛を二次性頭痛、特定の病気を原因としない頭痛を一次性頭痛と呼びます。一次性頭痛は、いわゆる「頭痛持ち」で、大きく「片頭痛」と「緊張型頭痛」に分けられます。

 緊張型頭痛は頭痛の中で最も多く、頭全体が締め付けられるような頭痛です。午後から夕方にかけて起こるのが特徴です。後頭部から側頭部、首から背中にかけての筋肉の緊張によって起こるため、温めたり、ほぐしたりすると改善します。

 片頭痛は、日常生活に支障を来す激しい脈打つ痛みが発作的に襲ってきます。「片頭痛」と書きますが両側のこともあり、痛みは数時間続きます。ちょっとした動作やにおい、光、音の刺激で症状が悪化するので、その間は頭を冷やしながら暗い所でじっとしていたくなります。吐き気や嘔吐(おうと)を伴ったり、頭痛発作の前に目がチカチカしたり、モザイク状の光が見えたり(閃輝暗点=せんきあんてん)する前兆があることが特徴です。


どんな人がかかりやすいですか?


 圧倒的に女性に多い病気で、特に20~40代に多いです。小中学校の頃から頭痛があったと訴える人もいて、15歳以上の人口の約840万人いると言われています。女性ホルモンと関係しているため、生理の時に頭痛が来る人が多く、頭痛を生理痛だと間違って認識している人もいます。月経時片頭痛は重症なことが多く、初潮年齢低下と晩婚化、出産の減少による生涯月経回数の増加で、治療が必要な人が増えています。



ほかの頭痛との違いは何ですか?効果的な治療方法はありますか?


 激しい頭痛が発作的に襲ってきますが、頭痛のない時には、普通に生活できているというのが特徴です。吐き気や嘔吐を伴うのは片頭痛の特徴のひとつです。緊張型頭痛では、吐き気を伴いません。頭痛は「症状」なので、その頭痛がなぜ起きているのか、病名を付ける必要があります。他の病気の可能性がないか、CT(コンピュータ断層撮影)を撮ることがありますが、片頭痛では異常を認めません。片頭痛は、大体問診で診断がつきます。「頭痛チェックシート」を使うと、自分でもある程度診断することもできます。

 片頭痛の治療には、頭痛時の治療と予防治療があります。発作時の治療では、市販の鎮痛剤でなく、発作時の頭痛を和らげる特殊な薬(トリプタン製剤など)があります。頭痛の回数が多い人は、予防薬で発作の回数を減らすことができます。最近、予防薬として、注射薬のCGRP関連抗体薬が使えるようになりました。1カ月に1回、約1万7千円と高額ですが、難治性の患者さんからは「楽になり生活が一変した」という声をよく聞きます。片頭痛の治療は、とても進歩しています。



普段の生活で気を付けることがあれば、教えてください。


 ストレスが影響するので、生活環境の改善はとても大切です。天候の悪化、飲酒や睡眠不足などは頭痛発作の原因になります。赤ワインやチョコレートなど、ご自分の頭痛を誘発するものを知って、それらを避けることが大事です。当院では頭痛日記をつけてもらっています。自分の頭痛がどんな時に起こり、どれくらい薬を使っているかなどが分かります。

 「頭痛で休む」と言えず、頭痛がないのに出勤前に薬を飲む人がいます。月に15日以上頭痛がある人は、慢性片頭痛とよばれ、鎮痛薬の使用過多によって、ますます片頭痛が悪化することがあります。周囲の理解や配慮も大切です。

 片頭痛そのものが命を奪うことはありませんが、発作が起こると日常生活に支障を来します。片頭痛による日本の経済損失は年間3千億円以上と言われ、疾病負担が極めて高い病気です。頭痛で悩んでいる人は、ぜひ脳神経内科、脳外科を受診してください。



実際に、ある患者さんが症状や投薬の状況を書き込んだ「頭痛日記」。医師が病状を把握する重要な情報となる

Comments


bottom of page