ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。
明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。
視界維持へ目のチェック
年を重ねるにつれて、目の衰えや病気が気になります。高齢者の多くがなるといわれる白内障と、失明の恐れもあるという緑内障。名前は似ているけれど、どんな違いがあるのでしょう。新潟大学大学院医歯学総合研究科眼科の福地健郎教授に解説してもらいました。
(明日野育子)
ふくち・たけお 1985年新潟大学医学部卒。91年 新潟大学大学院博士課程修了。新潟大学附属病院助手などを経て、2012年から現職。日本眼科学会監事、日本緑内障学会理事なども務める。
高齢者に多いという「白内障」。どういうものですか。
一言で言えば、目の老化現象です。老化現象により水晶体のタンパク質の成分が変性し濁ってくる状態で、進行すると視力が低下します。白内障の有病率は、50代で既に半数ほどに出ていて、60代、70代と増えていき、80代になると症状の有無は別として1%が持っています。
老化現象の一つなので誰でもなりますが、糖尿病やアトピー性皮膚炎、ウイルス性の病気感染、ステロイド薬の使用などが原因でなる人もいます。
どんな症状が出たら受診した方がよいでしょうか。
初期症状として、雲がかかったようなかすみ感や、夜間の運転時にライトをまぶしく感じる、物が二重に見えるなどがあります。これらは緑内障や目の奥の病気、網膜剥離の前兆など、他の病気の症状とも似ています。症状が出たら眼科専門医を受診してください。日本眼科学会や日本眼科医会などで構成する日本眼科啓発会議が出している「アイフレイル」チェックリストで調べてみるのもいいでしょう。
どんな治療が行われていますか。
軽度の場合は点眼薬で進行を予防し、経過を見ることもありますが、根本的な治療法は手術です。濁った水晶体を取り、眼内レンズ(人工の水晶体)を入れます眼内レンズの度の調整でピントを変えられるので、強度近視を軽くしたり、乱視を矯正したりすることもできます。条件によっては遠近両用のレンズを入れられます。医師と相談し良いタイミングで手術を受けた方がいいでしょう。
一方で日本の失明原因1位という「緑内障」は、どういう病気ですか。
眼圧により視神経が傷み、徐々に視野が狭くなっていく病気です。眼圧は眼球の形を保つために必要で、目の中は常に眼圧によって押された状態です。眼圧が高くなると、視神経が押されて傷みます。ただ、日本人は近視が多いからか視神経が弱く、正常眼圧でも影響を受ける場合が多いです。
早期発見のポイントはありますか。
外からは見えない目の底を調べる「眼底検査」が有効です。緑内障の日本人の約7割が正常眼圧のため、眼圧検査では引っかからないことがあり、眼底検査がある人間ドックや検診を受けましょう。眼科でも受けられます。
緑内障は自覚症状がほとんどなく進行します。早期発見・治療はもちろん、発症リスクがあるかを知るためにも、40代になったら年1回、定期的に検査をしましょう。
どんな治療法がありますか。
大部分の緑内障は残念ながら病気としては治すことができません。視神経は元に戻せないので、欠けた視野を広げることはできません。治療方法としては、眼圧を下げるために点眼や手術などを行い、視力と視野をそれ以上に悪化しないように保つことを目指します。
健やかな目を守るために、普段から気を付けることはありますか。
休みながら使うことでしょうか。子どももそうですが、近視予防として、30~40分見たら、5分くらい休んで遠くを見る。ピントを調節する筋肉の毛様体筋を緩めることが大事です。
老眼を含め一生眼科に縁がない人はいません。「アイフレイル」チェックリストを見て気になる症状があれば、眼科専門医を受診してください。治療しなければいけない病気や、経過を見なければいけない病気などの発見につながります。
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