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明日野家が聞く・健活インタビュー 「脳卒中」




 ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。

 明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。


症状三つ 血管の異常発端 前兆なし

明日野家が聞く | にいがた健康寿命 | 新潟日報

 

 人間の体の中でも非常に重要な頭。頭の中にある脳の血管に支障が出ると、生命に重大な危機が訪れます。脳血管疾患の「脳卒中」について、新潟大学脳研究所・脳神経外科学分野の長谷川仁准教授に聞きました。

             (明日野育子)




 

はせがわ・ひとし 1998年、新潟大学医学部卒。新潟大学医学部付属病院、新潟市民病院、京都大学医学部付属病院などを経て、2023年7月から現職。医学博士。日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会指導医、日本脳卒中の外科学会技術指導医。










「脳卒中」とは、どんな病気ですか?

 

 突然、脳の血管が破れる、または詰まる病気の総称で、代表的なものは、血管が破れるタイプのくも膜下出血と脳出血、血管が詰まるタイプの脳梗塞です。くも膜下出血は、脳の中の血管の一部が風船のように膨らむ動脈瘤(りゅう)ができ、それが破れて出血します。脳出血は、細い脳血管がもろくなって破れ、大脳や小脳、脳幹などの脳実質の中に出血します。脳梗塞は、脳の血管そのものがコレステロールなどで徐々に詰まる脳血栓症と、心房細動という不整脈により心臓できた血栓が血液の流れに乗り、脳の血管で詰まる心原性脳塞栓(そくせん)症があります。

 三つとも前兆がないことがほとんどです。突然、意識障害や半身まひ、頭痛などの症状が現れて倒れ、救急搬送される人が大多数です。ただ、くも膜下出血の場合、いつもと違う頭痛や物が二つに見える症状(複視)が現れます。脳血栓症の場合、しびれや目まい、運動障害、言語障害など、脳梗塞と同じ症状が出るものの1時間以内で治まり、後遺症などが残らない一過性脳虚血性発作という前兆症状がある人もいますが、全員に出るわけではありません。これらの前兆症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。



「脳卒中」を発症する原因は何ですか?どんな検査や治療をしますか?


 脳出血は慢性的な高血圧、脳梗塞のコレステロールによる脳血栓症は高コレステロール血症(脂質異常症)、高血圧、糖尿病といった生活習慣病や喫煙など、心原性脳塞栓症は心房細動の発症に加え、高血圧などが危険因子として挙げられます。くも膜下出血は高血圧や喫煙、大量の飲酒により破れやすくなると言われていますが、動脈瘤の有無が最も重要です。

 検査は、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)の撮影が一般的です。脳の血管だけを抽出し画像化するMRA(磁気共鳴血管撮影)を撮ることもありそれらの画像を見て総合的に診断します。

 治療は、くも膜下出血では、カテーテルを使った血管内手術が主流になりつつあります。足の付け根からマイクロカテーテルという細い管を入れ、動脈瘤にプラチナコイルを詰め、動脈瘤への血流を止めて破裂を防ぎます。開頭手術を行うこともあります。脳出血は、出血した瞬間に、その部分の脳の組織が傷付きます。手術をしても治りません。最初に重症の半身まひなどが出ると、後遺症としてずっと残ります。手術は救命目的の時のみ行います。脳塞栓は、心原性脳塞栓症の場合、血栓を取り除くと劇的に症状が改善するため、時間が重要になります。救急隊には、そういう患者さんがいたら治療ができる病院へ運ぶように、講演などで呼び掛けています。脳血栓症の場合、生活習慣病の改善など、内科的治療が大事になります。

 脳卒中の中で圧倒的に多いのは脳梗塞で、男性、特に高齢者に多いです。しかし、最も怖いのは、くも膜下出血です。突然死の代表的な病気で、女性は動脈瘤が男性の2倍できやすく、働き盛りの40代以降に多く見られます。発症数も増えていて、私たちが一番エネルギーを注ぐ病気です。 





予防策はありますか?


 脳卒中に限りませんが、生活習慣病に注意すること。頭痛など、何か異変を感じたら、最寄りの脳神経クリニックを受診しましょう。もし周りで誰かが倒れたら、すぐに救急車を要請してください。脳卒中は時間との勝負ですから。当大学病院は、エキスパートの医療スタッフと最新の治療機器がそろい、日本トップクラスの治療が可能です。もし難しい治療だと言われたら、大学病院に相談してみてください。




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