言葉を通し、豊かな心を育むキャンペーン「ことばの学校」の本年度4回目となる出前授業が1月27日、長岡市の三島中学校で開かれました。講演では3年生約50人を前に、長岡中央綜合病院名誉院長の富所隆さんが、がんになる要因や予防法、治療法を解説。がんで亡くなった患者との交流を交え、命の大切さについて語り掛けました。
富所さんは、国民の死因のおよそ3分の1をがんが占めることや、一生のうち約半数の人ががんになることを説明。「遺伝子の突然変異」であるがんの要因として「遺伝体質」、放射線被ばくなどの「環境要因」、胃がんを引き起こすピロリ菌などの「感染症」を挙げました。
「がん細胞は成長すると血管を破り他の臓器に広がっていく」と転移のメカニズムを説明した上、「検診で判明した人の方が、5年生存率が高い。がんは早く見つければ治すことができる」と早期発見、治療の大切さを強調しました。
また、予防法として原因物質の排除や免疫力のアップ、子宮頸がんに有効なワクチン接種、検診による早期発見を紹介。「手術のほか、放射線治療や薬物治療の進歩により治癒率は向上した」とし、「がんは決してこわい病気ではない」と力を込めました。
長年、医療現場で多くのがん患者と向き合ってきた富所さん。AYA世代(15~39歳)といわれる思春期、若年層の患者は、「仕事が続けられるか」「子どもにどうやって伝えるのか」など不安を抱えているといいます。緩和ケアを受け30代で亡くなった女性が、最期の日々を家族とともに穏やかに過ごしたエピソードを紹介すると、目頭を押さえる生徒もいました。
「命には限りがある。自分の夢を見付け1日1日を大事に生きてほしい」。富所さんの呼び掛けに、生徒たちは真剣な表情で耳を傾けていました。
※2022年度の「ことばの学校」は、日本教育公務員弘済会新潟支部の助成を受け、開催しました。
Comments