県内の企業担当者や学生らを対象に、医科学的な根拠に基づいて健康経営を実践する人材育成を目指す「次世代健康経営共創講座」が開講しました。初年度は40人が受講する見込みで、11月13日には新潟大学医学部有壬記念館(新潟市中央区)で開講シンポジウムが開かれました。
講座は新潟大学と新潟大学発ベンチャー「アイセック」(新潟市中央区)が主催。6回(12コマ)の専門家による講義と、がんやたばこといった分野別のオンライン講座(16コマ)に加え、希望者には健康経営を推進する企業の訪問を予定しています。
シンポジウムではまず、新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野の曽根博仁教授が開講趣旨を説明しました。
労働生産性など職場のパフォーマンスは従業員の心身の健康に大きく依存しているとした上で「生活習慣病の予防と治療という使命の達成には、健康経営が最適である」と指摘。職場の健康対策が国民の健康寿命延伸に不可欠かつ効率的であると同時に、健康経営はエビデンスに基づいて行われることが必要であると強調しました。
新潟大学大学院医歯学総合研究科の曽根博仁教授
続いて講義が行われ、経済産業省ヘルスケア産業課の橋本泰輔課長は国の健康経営優良法人認定制度に申請する法人が約1万7千社に上る一方、認定法人で働く従業員はいまだ被雇用者の約15%にとどまる現状を紹介。健康経営度が高い企業は採用に有利にはたらくことに加え、離職率も低いとし、健康経営を実践することで社内外から評価される組織になるといったメリットを解説しました。
また、新潟大学特命教授で社会的健康戦略研究所の浅野健一郎代表理事は健康経営や個人の健康リテラシーの向上が今後ますます重要になるとした上で、健康経営に関する専門人材育成の必要性を説きました。
経済産業省ヘルスケア産業課の橋本泰輔課長
続くディスカッションでは、アイセックの木村代表のファシリテートで県の担当者も交えた意見交換が行われました。「健康経営は中小企業への普及が課題」「事業主にいかに理解してもらえるかが重要であり、連携して推進するネットワークづくりが大切」などの意見が上がりました。
中でも、中小企業に向けては「お金をかけてやることが健康経営ではない。健康経営と思っていなくても既にできていることも多い」「中小企業は意志決定が早く、意思疎通を取りやすい。喫煙対策など有効なものにフォーカスできる」といった指摘がありました。
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