言葉を通じて豊かな心を育むキャンペーン「ことばの学校」の本年度2回目となる出前授業が1月24日、上越市の吉川小学校で開かれました。作家でいのちの落語家、樋口強さん(東京、新潟大卒)が5年生21人を前に講演し「生きているだけで金メダル。笑顔で人生を輝かせて」と語り掛けました。
樋口さんは43歳の時に肺がんと診断され、手術や抗がん剤治療を受けました。後遺症で全身の感覚がなくなりましたが、がんの経験を通して「当たり前のことを当たり前にできる」喜びや家族のありがたさを実感したといいます。
樋口さんは児童に対し「笑いは最高の抗がん剤」として笑うことや笑顔の大切さを強調。生涯で2人に1人が出合うがんについて「身近な存在だが、早く見つけ、治療に結びつけることが大切」と説き、「生きて何をしたいかを考えること。がんに合っても乗り越えていく力がついていく」と語りました。
また、樋口さんは子どもたちに「もし、お父さんやお母さんから『がんになった』と言われたらどう返し、どんな行動に移しますか」と問い掛けました。
「安心できる言葉を掛けたい」「入院するときは見送って手紙を送りたい」「空いている日はお見舞いに行きたい」―。じっくり考えて出した子どもたちの意見を聞き、樋口さんは「自分が何をすべきか考えて実行に移すこと、何をしてほしいかを考える『寄り添う』という気持ちを培うことが大切」と呼び掛けました。
授業では、テンポの良い巧みな話術で小話やラジオ実況の再現を披露する場面もあり、子どもたちは紡がれた言葉から、自分なりの想像を膨らませました。
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