医療や介護の専門家らが地域医療や地域特有の疾病について解説する「みんなの医療・介護 NIC健康セミナー」(新潟日報販売店グループ主催)が本年度もスタートしました。第1回のセミナーが6月15日、小千谷市の小千谷総合病院で開かれ、約80人が小千谷地域の医療や骨粗しょう症、心臓病などについて学びました。
この日は同病院の柳雅彦院長、新潟大学大学院医歯学総合研究科の古賀寛特任准教授、同大学大学院の小幡裕明特任准教授、小千谷市福祉課の横山直子保健師が登壇しました。
柳院長は、2015年から45年までの小千谷市の人口推計に触れ「15~65歳が50%減る一方、75歳以上は30年まで増加傾向にある。当院も高齢者向けにシフトしていく」と紹介。誰もが住み慣れた地域で医療や介護が受けられる地域包括システムの必要性を訴えました。
柳院長は終末期、本人がどのような医療や介護を望むか家族や医師らと共有する「アドバンス・ケア・プランニング」(人生会議)についても説明。「死をタブー視せず、語り合い相談することは、生きることにつながる」と利用を呼び掛けました。
また、古賀特任准教授は「骨折クライシス! フレイル・ロコモを知っていつまでも元気に」と題し、骨粗しょう症の予防について語りました。
古賀特任准教授は、介護を受ける理由として「関節疾患」「骨折・転倒」の運動機能の障害が多数を占めていると指摘。命に関わる大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折予防のため「まずは検診を受けてほしい」とし、「弱くなった骨を強くするより、強い骨を維持する方がずっと簡単」と訴えました。
「骨粗しょう症骨折予防の基本的アプローチは栄養と運動。これだけでよいという特効薬はない」と古賀特任准教授。「継続することとレベルアップすることが大事」と強調しました。
一方、小幡特任准教授は、「血液を循環させるポンプの働き方が悪いと心不全が起こる」と心臓病のメカニズムを解説。疲労感や足のむくみなどを伴う「臓器うっ血」、息切れや動悸(どうき)が起こる「臓器低灌流(ていかんりゅう)」を説明しました。
生活習慣病から心臓病に至る病みの軌跡の「ドミノ倒し」についても解説。急性心筋梗塞で治療を受けた男性が退院後、心不全を発症したケーススタディーを挙げ、「心筋梗塞後5年で30%が心不全を発症するが、運動など適切な予防で防げる」と力を込めました。
また、小千谷市の横山保健師は「80歳をすぎると要介護認定の割合は上昇する」とした上、市の介護予防事業を紹介。理学療法士が運動指導を行う「体しゃっきり教室」や水の浮力を利用しプールで運動する「アクアチャレンジ教室」といった取り組みを紹介しました。
セミナー終了後は、薬剤師による健康相談会も行われ、参加者は「血管年齢測定」「物忘れ度チェック」を受け、自身の健康をチェックしていました。
次回は7月6日、五泉市の市立図書館3階ホールで開催します。
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