10月17日 新潟市でNIC健康セミナー開催
10月17日(土)、新潟市のメディアシップ日報ホールで、地域の医療や介護について知識を深める「NIC健康セミナー」(NIC新潟日報販売店グループ主催)が開かれました。会場には約100人が訪れ、地域医療や病気について理解を深め、医療関係者らのアドバイスを熱心に聞いていました。


冒頭、主催するNIC新潟日報販売店グループの長谷川則之会長(NICとやの)が「人生100年時代になった現代で、単に長生きだけではなく、いかに健やかに自分らしく毎日を過ごすかという、健康寿命を延ばすことが重要なテーマとなってきています」とした上で「先日の記事で、犬を飼っている人は、認知症のリスクが48%低くなる、とありました」と語りました。「新聞の活用では、音読が脳の活性化に役立つと言われています。速読、なるべく速く読むことが脳の活性化につながることが実証されています」として「私の知人で日報抄を何秒で読んだか、毎日記録している人がいます。きょうのセミナーが、皆さまにとって日々健康に過ごすことに役立てば幸いです」とあいさつしました。

第1部は、新潟県福祉保健部の中村洋心部長が「データと地域連携で住民の健康を守る新潟へ」と題して、新潟県の現状と課題、取り組みと今後の展望を語りました。
医師でもある中村部長は「私も実家の母から『体の具合が悪い』と相談を受けます。健康は人生で一番大切なものです。いかに健康寿命を延ばせるかを日々やっています」とした上で「新潟では平均寿命、健康寿命とも10年ほど延びていますが、介護や支援が必要な期間が10年ほどあり、さらに健康寿命を延ばす必要があります」と述べました。
その上で「糖尿病や高血圧など、生活習慣病の予防が重要で、糖尿病と慢性腎臓病(CKD)対策が大きな課題となる」と指摘しました。「患者と医療費負担の大きい人工透析につながる糖尿病性腎症の重症化予防を進める」として、「地域医療の連携体制構築」を掲げ、早期発見、早期治療に向け①「腎機能の判定基準」の見直し②「糖尿病・CKD協力医」の養成―を挙げました。目標200人の協力医は現在県内で108人(2026年9月現在)で、「働く世代を中心にした糖尿病・CKDへの啓発活動にも力を入れていく」としました。「新潟県は、他の都道府県ではやっていないようなデータの分析や、何が悪くて体の具合が悪くなるのかなどの分析をしっかりやっている」とも語りました。
中村部長は「きょうの参加者の方々は健康的な生活をしておられると思う。回りに健康オーラのお裾分けをしてほしい」と語りました。

第2部は新潟大学医歯学総合病院血液浄化療法部の大塚忠司准教授が「尿蛋白(たんぱく)定量が分かれば長生きできる ~進化した腎臓病治療」と題して講演しました。
大塚准教授は、心臓の働きについて「腎臓は、小さな糸球体で血液からおしっこをこし取っている。この糸球体の働きが悪くなると尿に蛋白が漏れ出す」とした上で「尿から血液が出れば驚くと思うが、痛みや症状がなければ放置されることが多い」と指摘しました。
検査は「尿」と「血液」で行い、「健診でプラス1が出ても症状は出ないし、漏れ出す量は分からない」として「大事なのは、1回のおしっこで1日どれくらいの尿蛋白が出ているのかが分かる『尿中クレアチニン比』だ」と語りました。この数値が0.5以上になると「腎臓が悪くなるスピードが速くなるので、専門医にかかってほしい」と呼び掛けました。
大塚准教授は 「尿が出ているから大丈夫ではなく、(プラスの)サインは見逃さないように」 「診察を受ける時にはお薬手帳や健診結果を持って『尿蛋白の量を調べてもらえますか』『専門医への相談は必要ですか』、この一言を伝えて」とアドバイスしました。
引き続き、大塚准教授が「おうち透析でライフスタイルを変えない ~腹膜透析を知ろう~」と題して講演しました。腹膜透析は、これまでの血液透析ではなく、おなかの内側や臓器の表面を覆う膜の中に透析液を入れて行う透析です。通院せず、自宅などで朝から夜まで交換の時間が選べるものの、血圧や体重など日々の記録や片付け、物品の置き場所、ゴミ処理や感染予防などの課題もあります。
大塚准教授は「海外旅行も可能だが、血液透析に戻したり、組み合わせたりすることもできる」として「医師や看護師と意見を交わして、患者さんと一緒に考えていく」と語りました。

第3部は「新潟市からの健康情報」として、新潟市保健所健康増進課の保健師、歌川あいさんが「がん検診」などについて説明しました。
歌川さんは、新潟市の国民健康保険加入者の特定健診受診率が県平均より低く、6割以上が検診を受けていないことを指摘。「健康寿命の延伸のため、生活習慣病の発病や重症化予防に向けても受診率アップに取り組みたい」として、特定健診や、日本人の2人に1人がかかると言われている「がん」健診の受診券郵送を紹介。受診するとプレゼントが当たるキャンペーンを実施したり、特定健診とがん検診を組み合わせたりしている区があることも示しました。がん検診については「肺」「大腸」「乳がん」「子宮頸がん」「前立腺がん」を行っており、国民健康保険加入者の自己負担額は半額、70歳以上は自己負担なしで受診できることを伝えました。
一方、がん患者の治療と社会参加の両立を支援するため、ウィッグや人工乳房など、購入費用を助成するアピアランスサポート事業にも触れ、「詳しいことは各区役所の健康福祉課か保健所健康増進課へ」と呼び掛けました。

特別講演では、2015年からことし春まで、サッカーアルビレックス新潟のチーフドクターを務めた、こばり坂クリニックの渡邉聡院長が「整形外科で受けられる『再生医療』」と題して講演しました。
渡邉院長は、再生医療にはさまざまな種類があり、最先端医療からクリニックで受けられるリスクの低いものがあり、とくに現在整形外科で広まっている治療法について説明しました。「再生医療と聞くと、怪しいものでは? と思う人もいるかもしれないが、県内では、私たちや大学病院が国に届け出ているリスクが高くないものになる」と述べました。
治療法として、血液の血小板を取り出して濃縮し、関節に注入する「PRP療法」を挙げ、「関節液に血液の成分を入れるので、少しだけリスクはある」とするものの「60代のうち男性35%、女性の57%が症状があると言われる変形性膝(ひざ)関節症に有効だ」と述べました。変形性膝関節症は「軽いものは薬やリハビリをするが、変形が進めば手術になってしまう」と指摘。「PRP療法は『第3の治療』だが、予防に勝る治療はない」「筋肉をどう鍛えるか。リハビリは治療の中心にある」と力説した。
また、PRP療法については注射で痛みや一定のリスクがあることや「自由診療になるため、費用が高めになる」こと、効果も年齢や病態によって差が出てくることも示しました。
渡邉院長は「再生医療を話してきたが」と前置きし「人間の体には修復能力が備わっている。再生医療はお助けが目的で、効果を得るためには運動が必要」として「一つの選択肢として考えてほしい」と述べました。
講演終了後は、アイン薬局、しなの薬局の薬剤師が、「体成分分析」「血管年齢測定」を計り、薬の相談も受けていました。また、こばり坂クリニックの理学療法士が、参加者の体の痛みや不安の相談に乗っていました。




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