明日野家が聞く・健活インタビュー「前立腺がん」
(2026/9/24)
ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。
明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはずです。
病は男性だけ 尿の出方に注目 PSA検査を

おしっこをする時などに働く「前立腺」は男性だけにあるもので、そこにできる「前立腺がん」にはどんな特徴があるのでしょうか。新潟市民病院泌尿器科の山﨑裕幸副部長に、前立腺がんという病気や検査、治療などについて聞いてみました。

やまざき・ひろゆき 2009年、新潟大学医学部卒業後、同大病院泌尿器科に入局。長岡赤十字病院泌尿器科、がんセンター新潟病院泌尿器科副部長など、県内各地の病院勤務を経て、25年、新潟市民病院に入り現職。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会腹腔鏡技術認定医。
―「前立腺がん」とは、どのような病気ですか?

前立腺は男性にしかない臓器です。ぼうこうの下にあるクルミ大の器官で、尿道を取り囲むように位置しています。尿の流れを調整したり、精液の一部を作ったり、射精を助けたりする役割があります。この臓器にがんができてしまう病気が、前立腺がんです。
この40年間で罹患(りかん)率は30倍に増えていて、現在、男性の部位別がん罹患数1位です。
―発病するとどんな症状が出ますか?前兆はあり ますか?
基本的に初期は症状が出ないことが多いため、気付かないうちに進行していることがあります。
前立腺周囲の局所で進行すると、出口がふさがることで尿が出づらくなる排尿困難になったり、逆に頻尿になったり、残尿感が出たりします。さらに進行すると、尿や精液に血が混じることもあります。
ただ、尿が出づらい、我慢ができずに尿を漏らしてしまうなどの尿路症状の多くは、加齢に伴う前立腺肥大によるもので、前立腺がんとは限りません。
前立腺がんは、乳がん同様、骨に転移しやすい特徴があります。一般的に骨転移では骨がもろくなるイメージですが、前立腺がんでは、通常より硬くなる変異(硬骨性)となることが多いです。陶器のように硬くなるため衝撃に弱く、骨折することも。運が悪いと脊椎骨折や脊髄の圧迫により、しびれや足が動かないなどのまひが起こる危険性があります。

―どんな人がかかりやすいですか?リスク因子は?
高齢になるほど発症しやすく、50歳から徐々に増えてきます。遺伝的要因が強く、父親や兄弟などの近親者に前立腺がん患者がいると、罹患リスクが約2・5倍になります。2人以上いると、さらに増えます。家族に前立腺がん患者がいる方は、早めの検診をお勧めします。
また、高脂肪食、喫煙、運動不足、メタボリック症候群、肥満も罹患リスクを高めます。


―検査や治療方法を教えてください。
検査では、まず採血し、PSA(前立腺特異抗原)検査を行います。PSAは前立腺の腫瘍マーカーで、がんや炎症で前立腺組織が壊れることで血液中に溶け出し、増加します。加えて、前立腺の大きさや形などを見るエコー(超音波)検査や、直腸から指を入れて前立腺に触れる直腸診、前立腺MRIなどを行います。前立腺がんは背中側にできやすい特徴があり、直腸診で見つかる方もいます。針生検をして組織を顕微鏡で調べ、診断が確定します。
前立腺がんだった場合、CT検査や、微量の放射線を出す物質を含んだ薬剤を静脈に注射し薬剤が骨にあるがんに集まる様子を映す骨シンチグラフィなどで、転移の有無を調べます。
転移がなければ、前立腺全摘手術や放射線治療で根治が目指せます。摘出手術では、前立腺の一部が尿道も担っているため、取った部分をつなぎ合わせる再建も兼ねた手術となります。最近ではロボット手術が主流です。術後は、前立腺がなくなることで尿漏れしやすくなるため、骨盤底筋体操を指導しています。放射線治療についても、手術と同等の成績が期待できます。
転移があれば、内分泌(ホルモン)療法ベースの治療になります。前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)に依存して増殖する特徴があるので、男性ホルモンを作る精巣と副腎の機能を抑える薬の服用や注射をします。抗がん剤治療を行う場合もあります。
早期に見つかり症状のない低リスクの方は、将来的に前立腺がんで亡くなる可能性が低いため、無治療で経過観察とすることもあります。
患者さんの年齢やリスク、全身状態をみて、治療方法を決めていきます。
なお、内分泌療法を継続していると、効かなくなることがあります。これを「去勢抵抗性前立腺がん」と言います。この場合は、薬剤の追加・変更が必要です。

―早期発見のポイントはありますか?
50歳を超えたら一度、検診でPSA検査を受けましょう。現在も、多発骨転移、病的骨折による痛みや半身まひを契機に病院に搬送されてくる患者さんが、年間に何人もいます。早期発見には検診が有効です。
排尿困難、頻尿は前立腺肥大症でも見られる症状ですが、肥大症は症状が徐々に出るのに対し、がんでは急激に症状が悪くなることがあります。そのようなことがあれば、泌尿器科を受診してください。しびれや腰痛などが持続する場合も、我慢せずに病院へ行きましょう。


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