明日野家が聞く・健活インタビュー「運転外来」
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(2026/7/22)
ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。
明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはずです。
見え方の不安 検査、体験で診断 考える機会に

「最近、信号がぼやけて見える」とか「道を曲がる時、車の周囲が気になる」といったことはありませんか? ―もしかしたら、目の調子が悪いのかもしれません。今回は新潟大学眼科の赤木忠道教授に、目の病気のことや、全国でも数少ない「運転外来」について聞きました。

あかぎ・ただみち
1998年、東北大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院眼科へ入局。2004年、京都大学大学院博士課程修了。カリフォルニア大学サンディエゴ校眼科客員研究員、京都大学大学院医学研究科眼科学准教授、新潟大学大学院医歯学総合研究科眼科学准教授などを経て、2026年から現職。医学博士。日本眼科学会専門医、指導医、代議員。日本緑内障学会理事、日本視野画像学会理事。
―「運転外来」とは何ですか?どんなことをするのですか?

目の疾患や脳疾患などによって視野障害があり、「運転に不安がある」、「運転を続けてもいいか相談したい」という患者さんに対して、視機能や認知機能、運転中の反応などを評価し、安全運転のための助言を行う専門外来です。
視線計測機能付きのドライビングシミュレーターを用いて、患者さんが運転中にどこを見ているのか、左右からの飛び出しに反応できるか、事故回避行動がとれるかなどを確認します。その結果を、患者さんやご家族と一緒に振り返ります。
視野障害と運転能力の関係を評価することが基本なので、両目で見た時の視野に異常がある人が対象です。運転に不安があっても、視野に異常がない人は対象になりません。
対象の主な病気は、緑内障、網膜色素変性、脳梗塞後の同名半盲(両目の同じ側の部分が見えなくなる)などです。緑内障は、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする病気で、日本人の中途失明原因1位です。網膜色素変性は、徐々に求心性視野障害(周辺部が見えづらくなる)を生じる疾患で、指定難病の一つです。
―新潟大学医歯学総合病院眼科の運転外来について教えてください。受診するにはどうしたらいいですか?

見えづらさのために運転に不安を感じている人や、自分では運転に不安を感じていなくても、見え方が悪いために安全運転できるかを家族や周りの人から心配されている人が受診できます。ただし、両目での視野に異常がある人が対象となるため、運転外来受診の必要性は、最終的には眼科医が判断します。希望者全員が受けられるわけではありません。目の病気で眼科に通院中の人は、かかりつけの眼科の先生に紹介状を書いてもらった上で受診していただきます。運転に不安があるものの、自分に目の病気があるか分からない人は、まずは眼科で診察を受けてください。
検査では、視力、眼圧、視野検査、眼底検査など、一般的な眼科の検査を行います。必要に応じて、運転状況の確認や認知機能検査も行います。その後、ドライビングシミュレーターで実際に運転を体験してもらいます。現在は実施日が月2回のみなので、改めて別日に来てもらうこともあります。シミュレーターでの走行後は、リプレイを見ながら、視野障害の部位に応じた運転アドバイスを行います。最近では、患者さんの見え方に近い視野を画面に表示できる機能も搭載されており、患者さんの見えにくさをご家族が理解しやすくなっています。

―どのような診断になりますか?少しでも視野に異常があると運転できないでしょうか?
ご本人が運転に不安を感じている場合でも、視力・視野がある程度保たれていて、シミュレーターでも重大な問題がなければ、運転は継続できると判断します。例えば、緑内障で上方の視野が見づらい場合は、信号や道路標識を見落としやすくなります。一方、下方の視野が見づらい場合は、段差や近くからの飛び出しへの反応が遅れやすくなります。見づらい部分を自覚し、視線を意識的に動かして補うことで、より安全に運転できるように指導します。重症度によっては、夜間や雨天時、交通量の多い道路、慣れていない道では危険度が増すため、そのような環境での運転を控えるように指導することもあります。
明らかに運転が危険であるにもかかわらず、ご本人に自覚がない場合もあります。実は、視野欠損がある程度あっても、頭の中では周囲の風景で置換され、「見えている」と感じるような補正が行われているため、見えづらさを自覚していない患者さんも少なくありません。そのような場合には、こちらから運転を控えるように指導する必要があります。シミュレーターを体験してもらうことで、患者さん本人が運転を止めることに納得しやすくなりました。また、シミュレーターの結果をご家族に見てもらうことで、どれほど見づらい状態で運転しているのかを理解していただきやすくなり、送迎などのサポートを受けやすくなります。できれば、ご本人が納得した上で運転をやめ、その状況をご家族も理解し、送迎などの支援につなげられることが望ましい形だと思います。

―自分の目の状態や見え方を知ることは大切ですね。
運転外来では、目や脳の病気によって視野に異常があり、運転に不安のある人に対して、現在の見え方が運転にどのように影響しているかを評価します。ご自身の見え方を理解し、意識することで、運転の安全性は向上します。
まずは、自分の目の状態を確認することが大切です。40歳を超えたら、一度は眼科で診察を受けてください。運転外来でシミュレーターを使わなくても、視野検査などから運転時の注意点が分かることもあります。
運転外来の受診を、自分と周りの人の安全のために、自分の運転をどうすべきか考える機会にしてほしいと願っています。

