
「健康寿命日本一」を目指す県民応援プロジェクトは4年目を迎えた。ことしのテーマは「食から始める健活ライフ」。生活の基本である「食」を見直すことによって、自分が、家族が、そして地域が活気あふれる日常が過ごせるように。新潟県立大学・健康栄養学科の村山稔子准教授とともに、身近なテーマに沿って考えていきます。



毎日の食事は「バランスよく」とは思いながら、自宅や外食でも栄養面を考えるよりも「好きなもの」「おいしいもの」を優先しがちになります。健康のために「野菜や果物を取る」のは分かるけど、どれくらい、どのようにとればいいのか…今回は「野菜・果物 摂取(せっしゅ)のススメ」です。
◎しっかり取れば減塩効果も
厚生労働省は健康に過ごすために、野菜を1日350㌘以上取ることを目標としています。しかし「令和5年新潟県民健康・栄養実態 調査」によると、20歳以上の県民1人当たりの1日の野菜摂取量は290・9㌘で、350㌘以上の目標には、あと小鉢1皿分程度の野菜が足りません。
野菜はビタミンやミネラル、食物繊維など、健康の維持、促進に必要な栄養素を豊富に含んでいます。これらの栄養素の多くは体内で合成できないため、食物から取る必要があります。
例えば、ブロッコリーは、βカロテンとビタミンCが多く、含有量はキャベツの4倍もあるそう。冷凍食品もあり、お弁当などにも手軽に取り入れやすいと思います。
野菜を十分取ることで健康に欠かせないさまざまな栄養素を補給でき、心血管疾患や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病の予防も期待できます。
◎果物摂取で病気の予防にプラス
果物も野菜同様、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富です。
ミカンやキウイフルーツにはビタミンCが多く、肌のハリ、ツヤを保つ美容効果や抗酸化作用があり、免疫機能の強化にも有効と言われています。バナナや柿はカリウムが豊富で、高血圧予防に効果的です。果物に含まれる食物繊維には、整腸作用や血糖値の急激な上昇抑制、体内の余分なコレステロールの吸収抑制などの働きがあるそう。
厚労省は果物を1日200㌘以上取ることを目標にしています。
実は、果物の摂取は生活習慣病予防効果があることは科学的に示されていて、1日200㌘程度の果物の摂取により、高血圧や肥満、2型糖尿病のリスクが低下することが報告されています。アメリカで提唱された高血圧予防・改善を目的とした食事法「DASH(ダッシュ)食」でも、果物をしっかり取ることを推奨しています。つまり、適量であれば果物を食べている人の方が、糖尿病や高血圧、動脈硬化になりにくいと言えます。
果物200㌘は、バナナなら2本、小ぶりなミカンなら3個くらいに相当します。「令和5年新潟県民健康・栄養実態調査」の結果では、20歳以上の県民1人当たりの1日の果物摂取量は114・2㌘でした。ミカンをもう1個分くらい追加できるとよいです。
果物の缶詰は砂糖をたくさん加えて加工しているものが多いので、缶詰だけで取ろうとすると糖分の取り過ぎになってしまいます。生の果物を中心に取るようにしましょう。


◎生より加熱で多めくらいが適量
野菜350㌘は、もやし1袋(200㌘)とトマト(中玉)1個くらいです。
ホウレン草のお浸しなどの小鉢1皿分の野菜量は約70㌘になります。1日合計5皿分の野菜料理を目安に取り入れましょう。
千切りキャベツやレタスなどは見た目の割に重さが少なく、小鉢に山盛りでも40㌘程度しかありません。たくさん食べるには電子レンジで加熱したり、ゆでたり、蒸したりすると食べやすくなります。
生野菜なら、大根やニンジン、キュウリなどのスティックサラダは、千切りキャベツより量を多く取りやすいと思います。
手軽にたくさん野菜が取れる料理としては、秋はサケのチャンチャン焼きがお勧め。トマト缶などを加えてもおいしいですよ。カレーも、玉ネギやニンジンの他に、季節の野菜を加えて楽しむのもいいですね。
野菜の苦みが苦手な人は、ゴーヤチャンプルーのように削り節や肉のうまみ、卵などの食材を組み合わせて炒め物にすると食べやすくなります。食べられない緑黄色野菜がある場合は、他の緑黄色野菜に置き換えることで栄養素を補えます。
市販の野菜ジュースやサプリメントは、野菜が取れない時に活用するのはいいと思いますが、野菜の代わりになるとは言い切れません。野菜ジュースは飲みやすくするために糖分を加えているものもあり、体重や血糖の管理が必要な人は要注意です。サプリメントも、特定の栄養素の過剰摂取になってしまい、持病に悪影響を及ぼす可能性もあります。注意書きをよく読み、主治医や薬剤師に確認しましょう。
取っているつもりでも、意外と取れていない野菜や果物。健康づくりのためにもう1皿、もう1個、毎日の食生活の中で追加することを意識してみましょう。



