
「健康寿命日本一」を目指す県民応援プロジェクトは4年目を迎えた。ことしのテーマは「食から始める健活ライフ」。生活の基本である「食」を見直すことによって、自分が、家族が、そして地域が活気あふれる日常が過ごせるように。新潟県立大学・健康栄養学科の村山稔子准教授とともに、身近なテーマに沿って考えていきます。



体型の維持や、体重を減らすダイエットが健康にいいと思われがちですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」。太り過ぎ、やせ過ぎはどちらも体にはよくありません。自分にとっての「理想の体重」とは…。そのためにはどんな食べ方、食べ物がいいのか? 今回は「適正体重のススメ」です。慢性腎臓病(CKD)との関連も紹介します。
◎理想は「普通体重」
大幅な増減に注意!
「適正体重」をご存じですか?統計的に最も病気になりにくい体重のことで、年齢によって異なります。
自分の体重が適正体重かはBMI(体格指数)でチェックできます。体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で計算します。厚生労働省は、日本人の年代別の適正体重を表の通りに示しています。日本肥満学会では、男女ともBMI25以上を「肥満」、18・5未満を「低体重(やせ)」と定義しています。最近の国民健康・栄養調査によると、成人男性の3割以上が肥満であることや若い年代の女性にやせが2割以上であること、高齢者の女性や80歳以上ではBMI20未満が2割以上であることから、適正体重への改善が必要です。
◎腎臓は大切な臓器!
「やせ」は子どもにも影響
肥満が引き起こす病気には、脂肪肝、糖尿病、高血圧、動脈硬化性疾患などがありますが、慢性腎臓病(CKD)の発症および進行のリスク因子でもあることもご存じでしょうか?腎臓は腰のあたりに2個ある臓器で、毎日150㍑の血液を糸球体(しきゅうたい)でろ過し、老廃物を尿として排せつします。腎臓には各100万個の糸球体があります。機能が失われ、その状態が進行すると透析療法や腎移植が必要になります。CKDの中には、肥満が主な原因で腎機能が低下する肥満関連腎臓病もあり、治療として減量が必要です。また、やせとCKDの関連では、やせの女性からは出生体重2500㌘未満の低出生体重児が生まれやすく、低出生体重児は糸球体数が少ないリスクが高いです。糸球体数はその後に増えないため、将来、CKDになりやすいことが分かっ ています。
なお、BMI25未満でも腹囲が男性85㌢以上、女性90㌢以上で、血圧、血糖、中性脂肪のうち二つ以上が基準から外れる人はメタボリックシンドロームと診断されます。メタボもCKDの危険因子です。


◎軽い運動と「よくかんで食べる」から始めよう こまめに体重を量ろう!
肥満から適正体重を目指すなら運動がベストですが、まずは今より10分多く体を動かすことから始めてみましょう。食事では、ゆっくりとよくかんで食べることから取り組んでみましょう。早食いは肥満のもとです。よくかんで食べると満腹感も感じやすくなります。野菜を先に多く食べることは早食いを抑えやすいので、食べ過ぎの予防につながります。食べる際、栄養成分表示を見て、カロリーが少なくておいしいものを選ぶようにすることもよいです。さらに大切なことは、毎日体重を量ることです。お勧めは朝晩1日2回、体重を量って記録すること。可視化はモチベーションアップにもなります。体重が1㌔減ると腹囲が1㌢減ります。まずは半年で今より2㌢、2㌔減を目指しましょう。メタボの人も同様です。
適正体重の範囲よりやせている人は、まず、体重を減らさないようにしましょう。主食と主菜を中心に取るようにして、3食に加え間食も食事の一部と捉え、果物や乳製品、おにぎり、サンドイッチなどを取るのもよいです。
ただ、食事量や運動量が変わらないのに体重が減ってきた場合は、病気の可能性もあります。が30以上で体重が重くて生活に支障があるような場合なども医師に相談をしてください。
BMIを計算し、自分の体重がどのあたりなのかチェックし、食習慣や運動習慣などを振り返ってみましょう。40歳以上の人には特定健診でのチェックをお勧めします。メタボの場合は食事や生活習慣の相談も無料で受けることができます。CKDをはじめとする病気を予防し健康な生活を送るために、家族みんなで適正体重の維持を目標にしてみましょう。


