医療や介護の専門家を講師に招いた「みんなの医療・介護 NIC健康セミナー」(新潟日報販売店グループ主催)が7月8日、十日町市の市医療福祉総合センターで開かれました。約60人が参加し、がんの予防・治療や妻有地域(十日町市、津南町)の医療の展望、総合診療医の役割について知識を深めました。
この日は、十日町病院の吉嶺文俊院長、清﨑浩一副院長、齋藤悠診療部長、新潟大学大学院医歯学総合研究科の菖蒲川由郷特任教授、津南病院の林裕作院長、松代病院の鈴木和夫院長が登壇しました。
清﨑副院長は、がんを予防する対策として禁煙や節酒、食生活、身体活動などを挙げました。「BMI(肥満度を示す体格指数)が21~26.9の男性はがんのリスクが低く、21~24.9の女性は死亡リスクが低い」とし、「太りすぎだけでなく、痩せすぎも良くない」と注意を促しました。
おなかに小さな穴を空け、カメラを見ながら行う腹腔鏡手術や遠隔で操作するロボット支援手術などについて説明。「手術、抗がん剤、放射線治療をうまく組み合わせることでがん治療は進歩してきた」と語りました。
また、菖蒲川特任教授は十日町市の2045年までの人口推計と医療・介護の需要予測を示し、「人口減少に伴い、医療需要は少しずつ減る一方、介護の需要は少し増加し、その後減っていく」と傾向を説明。市内の医療施設、介護施設とも全国平均よりも少なく、不足している現状を紹介しました。
その上で健康寿命延伸のため「できるだけ病気にかからない」「かかりつけ医を持つ」「地域で助け合う」「新しい技術を積極的に取り入れる」ことを提案。「孤独や孤立は毎日たばこを15本吸うよりも健康に悪い」と述べ、社会参加の大切さを訴えました。
総合診療医をテーマにした講演は、討論形式で行われました。
齋藤部長はさまざまな病気に対応する総合診療医の役割を「守備範囲の広いプレーヤー」「カメレオン」などに例え「専門医とタッグを組み患者、地域を丸ごと診ている」と解説。地域の医療資源が限られる中、「医師個人の力では限界がある」とした上、「看護師や薬剤師、行政、そして住民の協力が不可欠」と呼び掛けました。
これに対し、津南病院の林院長は「都会から妻有地域に来る医師は、訪問診療や学校医などの経験を通し、総合診療医としてのスキルを身に付けられる」とメリットを強調。総合診療専門医の資格を持つ松代病院の鈴木院長は、「不明な点があれば、いろいろな先生と一緒に診る」と述べ、各分野の専門医と連携する必要性を指摘しました。
次回のNIC健康セミナーは8月26日、糸魚川地区公民館で開催する予定です。
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