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PMS(月経前症候群)と上手く付き合うには

ホルモンによる「ため込む」時期

体の仕組みを知り、自覚することが第一歩です

 月経前に、気分がうつうつしたり、イライラしたり体調が思わしくないことが、よくありますか?こういう不調は、PMS(月経前症候群)と呼ばれ、上手につきあっていくことが大切です。PMSは月経が来るとともに症状は消えます。女性は月経と月経の間に排卵があり、排卵後には黄体ホルモンが分泌されるのですが、PMSの症状は主にそのホルモンの影響で現れやすくなります。黄体ホルモンは受精卵を子宮に着床させるために出る、いわば“ためるため”のホルモン。排卵後はその作用の影響で、子宮内膜だけでなく水分や気分などもため込む時期なのです。妊娠が成立しないと子宮内膜が剝がれ落ちて月経になりますが、ため込んでいたものも一緒に出ていくので、月経が来ると治まるというわけです。


 症状としては便秘や、水分がため込まれることで起きるむくみや頭痛などがあります。気分がうつうつするのも気持ちが内にこもるせいですし、逆にイライラするのも気分を外に出せないために、さらにイライラしてしまうことになります。PMSとの向き合い方で一番大事なのは「いま、自分は月経前でそういう時期なんだ」と受け入れること。それだけでも気持ちが違います。あとは便秘に対しては食生活に気を付けたり、むくみや気分に対してはマッサージやストレッチ、ラジオ体操などで体を伸ばしてあげるといいと思います。


 受診のタイミングは自分の困り具合。つらくてなんとかしてほしい、と思ったら受診した方がいいでしょう。イライラして仕事に支障が出る、家族にイライラがひどいと指摘されたと言って来院する方もいらっしゃいます。治療には漢方薬がよく効きますし、若い世代にはピルをお薦めします。いま女性特有の心身の症状についての知識を有した「女性ヘルスケア専門医」が県内にも増えています。PMSや更年期に関する知識も豊富なので相談しやすいと思います。また、年代的には10~20代は症状が出やすいので、「いつも娘は月経前に不調そうだな」と感じたら本人にPMSについて教えてあげるだけでも気持ちが変わると思います。

 




竹山病院 診療部長・診療支援部長

竹山 希 さん

★PROFILE★

新潟市出身。新潟大学医学部卒。日本産科婦人科学会専門医。女性ヘルスケア専門医。済生会三条病院産婦人科医長などを経て2009年より現職。思春期から老年期まで女性の一生をサポートできる産婦人科医を目指している。


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