健康経営サポート会員を対象とした第3回オンラインセミナーが10月18日、開かれました。「食」を中心に健康経営に取り組む県内外の企業2社が登場。小規模の企業だからこそできる先進的な活動を紹介しました。
県内先進事例
(株)越佐ロード
佐渡市
建設業(塗装工事業ほか)
従業員16人
揚げ物避け残業時の弁当をヘルシーに
当社は道路のアスファルト舗装を得意とする建設業者です。新潟県の「にいがた健康経営推進企業マスター」、経済産業省の「健康経営優良法人」(中小企業部門)などに認定されています。
小さな事業所なのに、なぜ健康経営を推進できるかといえば、小規模ならではのチームワークの良さが挙げられます。新潟市のウオーキングチャレンジや全国健康保険協会(協会けんぽ)の「けんこう職場おすすめプラン」に参加するなど、できることから無理せず、楽しく実践しています。
2016 年、新潟市南区に営業所を開設した際、糖尿病の高齢者が入社したことが、従業員の健康を考えるきっかけでした。18年には「健康宣言」を行い、健康経営をスタートさせました。
具体的な取り組みですが、残業時、従業員に支給するお弁当に配慮しています。カロリーの高い揚げ物を避け、魚や野菜などヘルシーなメニューを選ぶよう心掛けています。
また、夏場の熱中症対策にも力を入れています。糖分の少ない麦茶や経口補水液を支給。扇風機が付いた空調服を着ることで、熱中症、脱水症を予防しています。
このほか、産業保健総合支援センター(さんぽセンター)の協力の下、「こころの健康づくり計画」を策定。時間単位の年次有給休暇制度を導入したり、禁煙宣言を行った従業員に禁煙手当千円を支給したりするなど、健康経営を推進しています。
高卒の新人が入社するなど健康経営は雇用の確保にもつながります。今年、若者の採用、育成に積極的な企業を認定する厚生労働省の「ユースエール認定企業」にも選ばれました。社員旅行や歓迎会、納涼会などを通し、コミュニケーションを図っています。
健康経営の効果は絶大です。認定を得るだけでなく、良い会社、良い人間関係を築くことに役立ちます。
県外先進事例
大垣タクシー(株)
岐阜県大垣市
運輸業
従業員22人
家族も一緒に 給料日に「アドバイス」配布
一般タクシー20台、福祉タクシー10台を有する会社です。ドライバーの平均年齢は65歳と高く、年々、高齢化が進んでいます。
若い人材の確保が難しい中、「技術や知識、経験豊富な現役ドライバーにできるだけ長く働いてほしい」との思いがありました。生命保険会社の健康経営アドバイザーの勧めもあり、2019年度から健康経営に取り組んでいます。
20年度は、従業員の健康状態を把握するため、飲み物や食生活、運動など7項目のアンケートをネットで実施しました。食生活への意識が特に低いことが分かり、その改善を健康課題に据えました。
「食べ物に関して健康を意識しているか」との問いに「いいえ」と答えた人の中で「6カ月以内に健康づくりを始める意思がない」と回答したのは25%でした。この数字を1年後に10%にする目標を掲げました。
健康情報をイラストで紹介する「健康経営ワンポイントアドバイス」を給料日に配布。3カ月に1度は食生活をテーマとし、食べ物への関心を高めました。給与明細書と一緒に配ることで、家族も一緒に考えてもらうよう工夫しました。
併せて食事・栄養管理支援アプリを導入してもらい、日常的に健康への意識を持つよう促しました。
その結果、21年度は「意思がない」と答えた従業員は13%まで減少。目標達成には至らなかったものの、効果があることが分かりました。食に関するアドバイスを2カ月に1度に増やしたこともあり、22年度は0%を実現しました。
健康づくりの意識は浸透しましたが、行動にはなかなか移せません。23年度は、具体的な健康レシピや調理方法をワンポイントアドバイスで提供し、行動するよう働き掛けます。
新型ウイルス禍の中、離職者が出なかったことや高齢の従業員もITツールに触れるなど、健康経営の効果は上がっています。車の任意保険では、健康経営優良法人に対し割り引きもあります。健康経営に対する支援拡大に期待しています。
■参加企業へのアドバイス
(株)越佐ロード 深井氏
健康情報は県や新潟市のメールマガジンから得ています。外部機関を活用するのもお勧めです。
大垣タクシー(株) 大角氏
ゴールを明確にし、短いスパンで決める。経営者自らが旗振り役となることが大切です。
■健康経営ポイント
○無理をせず、楽しく実践
○デジタルも上手に活用
○家族にも協力を仰ぐ
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