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雪下ろし けがなく安全に

少雪のために


 みなさま、こんにちは 魚沼基幹病院救命救急センター山口征吾です。

 当院は日本でも有数の豪雪地帯にあります。冬季には除雪関連外傷が多くみられます。おそらく日本で一番雪による人的被害を治療している病院だと思います。

特に雪下ろし中の転落外傷は大きなケガになることが多く、死亡する方も毎年おられます。また命は助かったとしても、大きな後遺症を残すことも少なくはありません。特に高所からの転落は死亡率も高く、注意が必要です。私が子供のころは(もう50年も前ですが)屋根から転落しても、下はたっぷりの雪があり、大きなケガにはいたりませんでしたが、最近はコンクリートやアスファルトがむき出しのところが多いです。

 建設現場の高所作業中には命綱や安全帯が必須ですが、自宅の屋根の雪下ろしでこのような装備をしている方は残念ながら、あまりいません。なぜならば普通の屋根には安全帯を取り付ける「アンカー」と呼ばれるものがついていないのです。これが普及してくれば屋根からの転落もかなり減るのではと期待しています。


魚沼基幹病院 救命救急センター 

地域救命救急センター長 

山口 征吾 

                 

 

大切な「命綱」


 この分野で有名な長岡技術科学大学上村靖司教授にお願いして、十日町市、魚沼市、南魚沼市で講演会を開催して、安全な雪下ろしの普及活動を行いました。私は屋根にアンカーが装着できれば、多くの転落が防げると考えています。上村教授はほかにも車庫の屋根からの転落や、はしごがずれて転落など、ほかにも危険があることを指摘されました。安全な雪下ろしが可能になれば、都会からの雪下ろしツアーなどの企画も可能で、雪下ろしの担い手不足の解消や交流人口の増加につながるとのことでした。まったくその通りです。 



命を守って


豪雪地帯では、人口の高齢化も著しく、高齢者も屋根に上らざるを得ない状況です。克雪住宅といった、雪下ろし不要の屋根があります。しかしこれは建て替えが必要で、改築するのも簡単ではありません。屋根にアンカーを取り付けるだけなら

ば、補助金もでますし、比較的安価です。この場を借りて、豪雪地帯にお住まいで克雪住宅に住んでいない方にメッセージをお送りいたします。雪下ろしをするなら是非、アンカーを取り付けてください。

新潟県 雪下ろし アンカーで検索してみてください。



















【写真】2022年1月、糸魚川市平岩地区で約2メートルの屋根雪を崩し、道路に下ろす除雪業者    (2024.10.8掲載)


 
略歴 やまぐち・せいご
1991(平成3)年自治医科大学卒業後、新潟大学で研修。92(平成4)年から県立病院勤務。2013(平成25)年から新大高次救命災害治療センター、2015(平成27)年魚沼基幹病院開院と同時に地域救命救急センター長。
 次回は、大学の6年後輩で山口先生と平成12年には一緒に勤務したこともある、地域医療に献身的に取り組んでいる新潟県立柿崎病院の太田求磨院長先生を予定しています。非常に一生懸命で、頼もしい先生です。
 

協力:株式会社メディレボ









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