top of page

10/16 | にいがた健活講座「カラダを動かし健康増進~運動の効果と方法~」

にいがた健活講座「カラダを動かし健康増進~運動の効果と方法~」

新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科

佐藤敏郎教授


 

 さとう・としろう 1964 年、名古屋市出身。日本体育大学卒業後、高等学校教員、中学校教員を経て春日井市保健センターで健康運動指導士として従事する。2007年に金沢大学大学院自然科学研究科にて博士(学術)を取得し、09年より新潟医療福祉大学に赴任。専門分野は体力測定評価、健康科学。日本健康運動指導士会県支部長などを務める。


 

継続的な取り組みで生活習慣病予防


  いきいき健やかに暮らすためのヒントを探る「にいがた健活講座」が10月16日、新潟日報メディアシップ(新潟市中央区)で開かれました。新潟医療福祉大学健康科学部の佐藤敏郎教授が体を動かすことの効果や習慣化の重要性を解説。運動のポイントも紹介しました。


 厚生労働省によると、日本人の死亡リスクで、運動不足は、喫煙と高血圧に次いで3番目の高さです。高血糖やアルコール摂取より高くなっています。運動不足は、循環器疾患やがんなどに関わってきます。運動をすればがんにならないというわけではありませんが、予防に役立つことが世界的に研究で明らかになっています。

 運動をすると、持久力の指標であるスタミナがつきます。血圧低下や脂肪減少のほか、筋肉増加や老化抑制、生活習慣病の予防・改善といった効果もあります。

医師に血圧を下げるように言われてウオーキングを始めたものの、全然変わらないからやめるというのは、もったいないことです。最初は数値に表れないかもしれませんが、実は体にはさまざまな良い効果が起きています。運動はちょっとすれば、すぐに効果が出るものではないことを分かっておいてください。


軽く息弾む程度で30分以上


 できれば毎日、軽く息が弾む程度の中等度の身体活動を30分以上行ってください。一押しは、速歩やジョギング、水泳、ダンスなどの持久性運動。全くやっていない人は週1回、歩くことから始め、ゼロからイチを目指しましょう。すでに歩いている人は回数を増やすほか、スクワットなどの筋力づくり運動を加えてください。

運動時間は、1回8~10分でも1日の合計が30分以上になればOKです。

 運動の強度は脈拍を目安にするといいでしょう。安静時1分間84なら、120台になるようなスピードで歩きましょう。ただ、降圧剤の服用やペースメーカーの使用がある人は、脈泊を参考にしないでください。


活動維持させる環境も重要


 運動効果の決め手は、実施した身体活動量の総量です。少しきつめの運動を積み重ねることで、血圧や血中脂質、全身持久力、体重などが改善します。総量を保つために、体を動かすことができる環境を整えることも重要。仲間をつくることも一つの方法です。

 新型コロナウイルス禍のリモートワークでは、座っている時間が増え、エネルギー消費量が減少。動かないので体脂肪が蓄積しやすく、血糖値も上昇しやすくなります。また、座位姿勢は太腿など下肢に体重がかからず、筋肉が衰えます。座位をたびたび中断し、ストレッチや筋トレ、ウオーキングをしましょう。膝や腰が痛くなくて、目の調子が悪くなければ、自分の体重を移動させる階段の昇り降りがお勧めです。転倒には十分注意して行ってください。



いくつになっても遅くない


 いくつになっても運動を始めることが重要で、手遅れはありません。体力年齢20歳を目指すのではなく、そのまま年をとらず、横ばいを目指しましょう。

 運動を習慣化している人や高い体力を保持している人の有病率は低く抑えられており、健康寿命が長いことが明らかになっています。運動の効用を理解し、自ら定期的な運動を実践しつつ、周りの人にも助言してほしいです。



実践講座「ストレッチ・握力測定」


 実践講座では、ストレッチと、筋力の指標となる握力測定を行いました。佐藤教授は、ウオーキングのポイントについて「大股で速く、さっそうと歩くイメージ」と説明。「膝は伸ばし気味で、踵から着地。スピードを出すと腹筋にも刺激がいきますよ」と、実際に手本を見せながら解説しました。


bottom of page