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乳がんを予防するために


95%は40歳以上で発症

ブレストアウェアネス~自分の胸に関心を




 乳がんは乳房の中の乳腺にできる悪性腫瘍の一つで、女性のがん疾患の中では最も頻度が高く、9人に1人がかかるとされています。罹患(りかん)率のピークは45歳から69歳。95%は40歳以上で発症するのも特徴です。

 乳がんになりやすい原因として、第一に遺伝因子が挙げられ、例えば母親や姉妹が乳がんと診断されている場合はリスクが2倍ほど高くなります。全体の5~10%が遺伝性ですが、個々で状況が異なるので詳しくは専門医にご相談ください。

一方、生活習慣などに原因がある環境因子は予防ができます。まずは乳がん発症リスクが高くなる喫煙、アルコールの取り過ぎ、肥満(BMI30以上)、糖尿病などに気をつけることです。また、大豆食品やイソフラボンは乳がん発症リスクを下げる可能性があるので、食事での摂取を心がけましょう。さらに、閉経後は定期的な運動も有効です。

 予防と合わせて大切なのが検診ですが、最近は自分の乳房の状態に日頃から関心を持って生活する「ブレスト・アウェアネス」が提唱されています。これは四つの行動で成り立っており、・見て、触って「自分のいつもの乳房」を知り、月1回程度、変化がないかセルフチェックを行う ・しこり、くぼみ、ひきつれ、乳頭からの血液が混じった分泌物など「気を付けるべき変化」を知っておく ・変化を自覚したら、次の検診を待たずに乳腺外科や外科を受診する ・40歳になったら2年に1回マンモグラフィ検診を受けること、です。

乳がんは早期発見すれば治る可能性の高いがんです。触診のやり方などはYouTubeチャンネル「乳がん大事典BC Tube編集部」の動画を参考にしてみてください。10月は乳がん月間です。これを機会に、肌の調子やヘアスタイルを気にするのと同じように、乳房にも関心を持ちながら過ごしていただきたいと思います。



 






にいがた乳腺クリニック院長

長谷川 美樹さん

★PROFILE★

新潟大学医学部医学科卒。日本乳癌学会乳腺専門医。日本超音波医学会超音波専門医。新潟県立がんセンター乳腺外科医長などを経て、2020年に女性専用の乳がん検診・乳腺診療クリニック「にいがた乳腺クリニック」を開院。乳がんの診断や検診、サバイバー支援とともに、「ブレスト・アウェアネス」を多くの女性に伝えることを目指している。


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