にいがた健活講座「食習慣」「リウマチ」(9月28日)
- ke-yamamoto
- 11月7日
- 読了時間: 6分
更新日:11月7日
(2025/11/7)
県民の健康づくりを応援する「にいがた健活講座」が9月28日、新潟市中央区の新潟日報メディアシップ日報ホールで開かれました。「食習慣」「リウマチ」の各講座には多くの人が参加。専門家の話に耳を傾けながら、健康増進のヒントを探りました。

講座①(食習慣) 伝えたい おばあちゃんの知恵

料理家
佐藤 智香子さん
体調が悪くなったとき、薬を飲みますよね。薬が病気を治すものだとしたら、台所は病気を防ぐ場所だと私は思います。
亡くなった祖母は、いつも食べ物をたくさん台所で仕込んでいました。大人になって食に携わるようになると、おばあちゃんの台所にはすごい知恵がいっぱい詰まっていた気がします。
例えば、だし。料亭のようにかつお節をいっぱい入れて取るのではなく、水に煮干しが浸っている感じででも、煮干しのうまみで満足感が得られました。また、コメのとぎ汁でぬか漬けを作ったり、だしを取った煮干しをつくだ煮にしたりしていました。
食べることは心の栄養
世の中がどれだけ変わっても、人間が食べることは変わりません。食べる楽しみは心の栄養になります。私は旬のものを食べることを心掛けています。旬のものには力があり、それを取り込み自分の力にしています。
厚生労働省によると、健康とは体、心が社会的にも満たされている状態を表しますが、「病気じゃない=健康」ではありません。やはり健康寿命を延ばすことが大事です。これを食べればいいという飛び道具はなく、普段のご飯の積み重ねしかありません。食べ物が変わると体が変わります。免疫力や血糖値、血圧などは食事の影響を受けます。 もし減塩して物足りなさを感じたら、野菜の切り方を変えて食感を楽しんでください。香りで塩分を補ってくれるベーコンもお勧めです。そして、「よくかむ」「腹八分目」「バランスよく」。昔から言われてきたことが本当に大切です。
新潟の知恵を知るために月刊キャレルさんで郷土料理を取材しています。きちんとしたレシピがないものが多く、ひたすら足で稼ぎ聞き取っています。
梅干し、みそは強い味方
台所の「薬箱」に入れておきたい食材は、煮干しや昆布、かつお節、梅干し、みそ、酢、ショウガ、ネギ、切り干し大根などの乾物、塩こうじなどの発酵調味料です。中でもショウガや梅干し、みそ、ネギは強い味方です。例えば、ショウガは風邪予防でスライスしたり、すりおろしてシチューに入れたりできます。
日々、食べることで体を整えていくことが大切です。そして、先人に思いをはせ、改めて昔からあるものの素晴らしさを感じてほしいです。おばあちゃんの台所のような知恵があったら、絶対伝えてください。途切れさせてはいけません。台所は皆さんの体と心を守る「薬箱」です。
参加者の声
日常の献立がマンネリ化していましたが、目からウロコで良いお話を聞きました。「お台所は薬箱」を自分のモットーにして日々、研さんします。(60代女性)
昔ながらの台所の知恵、いろいろと参考になりました。さっそく明日から実行しようと思いました。参加して良かったです。(70代女性)

講座②(リウマチ) 早めの受診で早期治療を

総合座長 近藤直樹先生
(新潟大学医歯学総合病院 整形外科病院准教授)
専用サイト 上手に活用
早期関節炎で診断に12週未満と12週以上要した人を比べると、前者の方がよく治ったという論文があります。やはり、早めにリウマチ医を受診することが重要です。
そこでサイト「CoNN‐URD(コン・ユーアールディー)」を立ち上げました。「診断未確定リウマチ性疾患に対する新潟発地域連携ネットワーク」の略です。QRなどからアクセスすると、関節リウマチかどうかを自己チェックできるほか、新潟市内のリウマチかかりつけ医のリストなどが見られます。
このシステムにより、患者の受診控えなど治療の遅れを軽減し、最終的には新潟県全体で、診断未確定関節炎の早期診断・治療を達成できればと考えています。
気になる症状があれば、チェックリストを確認し、かかりつけ医を検索してください。サイトを活用し、早期診断・治療で、皆さんの健康を保持しましょう。

黒田 毅先生
(新潟大学保健管理センター教授)
薬剤進歩し完全寛解も
関節リウマチ(RA)は、関節をつなぐ滑膜が増え関節の軟骨や骨を溶かし、最終的に関節が動かなくなる病気です。関節の痛みや腫れ、30分以上、朝の手のこわばりがあるといった症状があり、約9割が手指関節に出ます。以前は中年女性に多い病気でしたが、今は発症が高齢化し60~70代が多いです。近年増えている、高齢になってから発症する高齢発症関節リウマチは、男女共に起こり、肩や膝などの大きな関節に症状が出やすいです。
RAにおける関節破壊は、発症から2年間で急速に進みます。最初の2年できちんと治療することが大事です。治療は、疾患について知る基礎療法、服用や注射による薬物療法、手術療法、理学療法の4本柱で行います。
この20年間でいろいろな薬が出てRA治療は進みました。診断されたらメトトレキサートを飲み、効かないときは生物学的製剤やJAK阻害薬などを使います。RAの薬は飲まないと死ぬ薬ではありません。高熱などの症状が出たら飲まなくていいし、災害などで薬がなくても慌てる必要はありません。薬で寛解状態なら1、2週間は大丈夫。これで崩れるような治療はしていません。
RAの治療目標は、リウマチの症状や兆候が消えた状態「寛解」です。炎症や自覚症状が消えた臨床的寛解、関節破壊が消えた構造的寛解、身体機能が維持される機能的寛解の三つが達成できると完全寛解になります。薬剤の進歩で誰でも達成できる可能性があります。RAを疑ったら医療機関を受診してください。

小林大介先生
(新潟大学医歯学総合病院腎膠原病内科講師)
症状つなぎ膠原病診断
膠原(こうげん)病は、主に勘違いした免疫が原因となる病気で、関節リウマチやシェーグレン病症候群など、いろいろな疾病が含まれます。
その一つ、全身性エリテマトーデス(SLE)も、自分を守るはずの免疫が自分の体の一部を敵と勘違いして攻撃してしまう自己免疫反応による病気です。自分を攻撃する特殊な抗体「自己抗体」が作られ、それが体のかけら(DNAなど)と結合し、小さなごみの塊「免疫複合体」を作ります。このごみが血液に流れ全身の臓器に沈着し炎症を起こし、発熱や関節の痛みなどの症状が現れます。
SLEは自己抗体を作るホルモンのBAFFなどが免疫を暴走させ悪さをします。病気ごとに悪さをするホルモンが変わり、いろいろな症状が起こるのが膠原病です。
膠原病は複数臓器に症状が出るため、1臓器だけを診ても診断がつきません。複数の症状をつなげて一つの答えを導くのがリウマチ・膠原病専門医です。もし症状がたくさんあり、診断がつかず困っているなら受診してみてください。
よくリウマトイド因子や抗核抗体が陽性だが大丈夫かと聞かれますが、実はどちらも健常の高齢者や病気とは関係ない理由から陽性になる人が結構います。何らかの不調があった時に病気を診断するきっかけにはなりますが、これだけで心配する必要はありません。
日常生活ではストレスや疲労、冷えを避け、たばこはやめ、トイレを我慢しない。刺激の強い物を避け、消化の良い、バランスの取れた食事をしましょう。
参加者の声
膠原病についてマイナスのイメージが強かったですが、今は新しい薬があるから、悲観することはないと思いました。(40代女性)
この種の病気を恐れないという気持ちをもつことができました。(70代女性)
「けんこうブース」にぎわう
みなと広場では、同時開催事業の「けんこうブース」が行われ、7ブースが出展しました。口腔(こうくう)ケアのための舌ブラシや天然野草を素材とした体に優しい石けん、三条市下田地区のブランド米で作ったお菓子などが並び、来場者の目を引いていました。



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