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子どもの予防接種

未来のためにできること

ワクチンが持つ意味を知ってほしい

 子どもの予防接種は生後2カ月目から始まります。1歳までは回数が多いですが、ほとんどの小児科で最初の予防接種の際に予定を立ててくれます。ほぼ定期接種(無料)ですが、自己負担の任意接種もあります。その中でおたふくかぜに関しては、国に定期接種を提言するため、日本小児科学会の有志で安全性を調査中で、現在、全国から5万件の報告が集まっています。世界では麻疹、風疹、おたふくかぜを含めた3種混合が標準です。こうした動きがあることを皆さんにも知っていただきたいですね。6歳時の3種混合とポリオの任意の追加接種も、免疫を再び上げるためにお勧めしています。これは、小学生になった後、幼児期の4種混合でつけた百日ぜきへの抵抗力が低下することが問題になっています。百日ぜきは、乳児がかかると呼吸停止を起こすことがある危険な病気なのです。

予防接種には二つ目的があり、一つは個人免疫をつけ、接種した人が病気にかからないため。もう一つが社会全体で免疫をつけることです。中には体質的にワクチンが適さない子どもがいますが、みんなが免疫をつけることで、その子どもたちを守れます。そして最終的な目標は世界中で行うことで病気をなくすこと。今、それが実現しているのは天然痘だけです。日本なら罹患(りかん)しにくいと思われがちですが、今の子どもたちは将来も日本にいるとは限りません。子どものときに免疫をつけておくことが、その子の人生のためにも大事なのです。また、ワクチンは打てばほぼかからないものもあれば、インフルエンザのようにかかるものもあります。その場合も確実に重症例は減り、それも大きな効果です。接種後に発熱することもありますが、体に負荷をかけて鍛えていると捉えるのが良いと思います。

 また、1997年度~2005年度生まれの女性を対象にしたHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の無料接種期間があと2年間です。産婦人科の他にも小児科でも接種できます。日本では年間3,000人もの若い女性が子宮頸がんで命を落としています。ワクチンで予防できるので、ぜひこの機会に受けていただきたいと思います。

 



よいこの小児科さとう

院長 佐藤勇 さん

★PROFILE★

新潟市出身。医学博士、日本小児科学会専門医。秋田大学医学部卒。1997年よいこの小児科さとう開院、2000年病児保育室よいこのもり開設。新潟県小児科医会理事をはじめ、子育て関連団体の委員も多数務めている。









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