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明日野家が聞く・健活インタビュー⑥ 「歯周病」

 ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。

 明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。


全身の健康に関わるお口の病気


明日野家が聞く | にいがた健康寿命 | 新潟日報

 実は多くの人がかかっているという歯周病。最近は口の中だけでなく、全身のさまざまな病気にも関わるといわれていて、ますます気になります。どんな対策が必要なのでしょう。日本歯科大学新潟生命歯学部の両角祐子准教授に詳しく教えてもらいました

       (明日野健)




 

明日野家が聞く| 大平徹郎氏








もろずみ・ゆうこ 1995年日本歯科大学新潟歯学部卒、99年同大学大学院新潟歯学研究科修了。同大新潟生命歯学部歯周病学講座講師などを経て、2010年から現職。日本歯周病学会専門医、日本老年歯科医学会専門医・指導医。




「歯周病」ってどんな病気ですか?


 歯肉(歯茎)や歯を支える歯槽骨、歯根部表面を覆うセメント質、歯と骨をつなぐ歯根膜からなる「歯周組織」で起こる病気の総称です。原因は、歯についている細菌の塊、プラーク(歯垢)。その中で、歯周病の菌(歯周病原細菌)と、その菌が作り出す刺激物質が歯と歯肉に付き、炎症を起こします。その炎症が歯肉だけで起きている状態を歯肉炎、歯肉以外まで広がった状態を歯周炎と呼び、どちらも歯周病のことです。

 歯肉炎の症状は、歯茎が赤く腫れたり、歯磨きで出血したり、腫れのために歯と歯肉の間の溝(ポケット)が深くなったりします。歯周炎になると歯と歯肉がはがれ、歯周ポケットはどんどん深くなり、症状が進むと菌や刺激物質が歯肉や歯槽骨を破壊して骨が減っていきます。「歯茎が下がった」「歯が長くなったなど」と感じるほか、口臭が気になったり、歯がグラグラして抜けてしまったりすることもあります。



多くの国民がかかっているというのは本当ですか?


 何らかの歯肉の所見(歯石の沈着や歯周ポケットなど)が認められる人は日本人の約8割、歯周炎は50歳以上の半数がかかっているといわれています。新潟県の子どもは虫歯が少ないですが、中高生で歯肉炎になっている人もいます。






歯周病は全身疾患に関わると聞きます。


 歯周病の炎症物質が歯肉の血管から入り全身を巡ることで、疾患を引き起こします。代表的なものは、糖尿病や動脈硬化、認知症です。特に糖尿病は、歯周病が合併症の一つとされ、重度歯周病の人は糖尿病が悪化すると治りにくく、一方で糖尿病の人は歯周病が進行しやすいという関係にあります。菌が誤嚥(ごえん)で気管から肺にいくと、誤嚥性肺炎の原因になります。




早期発見のポイントや治療方法を教えてください。


 歯周病は、痛みや自覚症状がないまま進行します。歯科の定期健診が早期発見につながります。検査では、プラークの付着状況の確認や歯周ポケットの検査などを行います。必要に応じ、プラークや歯石を取り除きます。

 歯周病の予防・治療はプラークを除去する歯磨きが基本。歯磨きが上手にできないうちに歯石を取っても、また付着してしまうので、きちんと歯磨きの指導を受けましょう。

歯肉炎は歯磨きと歯石除去で治りますが、重度の歯周炎になると、骨から歯肉をはがして歯の根元の歯石を取る外科的治療を行うこともあります。







 予防方法はあるのでしょうか。


 一番の予防方法は、原因となるプラークを除去すること。歯周病の菌は常在菌なのでゼロにはできません。少しでも減らすため、1日のうち1回はしっかり時間をかけて歯を磨きましょう。歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、歯と歯肉の境目に当てます。その際、毛先が広がらない程度の力で10~20回、小刻みに動かしてこすります。歯ブラシの種類は好みで構いません。電動でもOKです。

 歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは取れないので、デンタルフロスなども併用しましょう。お口の中の状態は一人一人違うので、健診の際に自分に合ったケア方法を聞いてみるといいですよ。

 歯周病は中高年がかかるイメージかもしれませんが、決してそうではありません。早期の治療はそんなに痛くありません。かかりつけの歯科医を持ち、定期的に健診やメンテナンスを受けてください。









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