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明日野家が聞く・健活インタビュー⑨ 「過活動膀胱」

 ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。

 明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。


加齢で増える頻尿や尿漏れ


明日野家が聞く | にいがた健康寿命 | 新潟日報

トイレが近くて困る」「我慢できない」―。年を重ねるにつれ、おしっこの悩みを抱える人が多いようです。最近よく耳にするのが「過活動膀胱」。加齢で増えるというその疾患の原因や治療法について新潟臨港病院(新潟市東区)の泌尿器科部長、糸井俊之医師に詳しく聞きました。(明日野育子)






 

明日野家が聞く| 大平徹郎氏











いとい・としゆき 1996年3月、新潟大学医学部卒。立川綜合病院、県立がんセンター新潟病院、済生会新潟第二病院などの勤務を経て2003年から新潟臨港病院。日本泌尿器科学会専門医・指導医。




「過活動膀胱」とは何ですか。

 

急に尿意が出て、我慢できない「尿意切迫感」に加え、通常は頻尿や夜間頻尿といった症状が出る病気です。約半数でトイレまで我慢できず尿を漏らしてしまう「切迫性尿失禁」を伴います。過活動膀胱の罹患率は加齢に伴って上がり、国内患者数は1200万人ともいわれます。ただ、男性に比べて女性は受診率が低いのが現状。困っていたら、かかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。











原因や診断について教えてください。


 脳血管疾患やパーキンソン病、脊髄の障害など脳や神経に原因がある場合と、下部尿路閉塞や加齢、骨盤底筋のぜい弱化といった非神経性のケースがあります。前立腺肥大症による過活動膀胱も非神経性の尿路閉塞の一種です。加齢に伴って膀胱が小さくなったことによる頻尿や、膀胱の血管内皮のダメージが原因のこともあります。

 尿意切迫感を伴う頻尿があることと、残尿を認めないことが診断のポイント。夜間にトイレに起きる人はいると思いますが、生活に支障がなければ問題ありません。ただ、一晩に3回以上は睡眠がさまたげられるだけでなく、転倒・骨折のリスクが高まり、寿命にも関わります。

 診断は尿検査で膀胱炎がないか、出血がないかなどを調べ、エコーで尿路結石の有無や残尿量、男性では前立腺の大きさなどを見ます。同じような症状でも膀胱や前立腺のがんや、子宮内膜症などが原因のこともあり、注意が必要です。






どのような治療が行われますか。


 治療の基本は薬物ですが、水分やカフェインを取り過ぎない、早めにトイレに行くなどの生活指導や、少しずつ排尿間隔を延ばして膀胱を大きくさせる訓練など行動療法も行います。過活動膀胱の半数は切迫性失禁を伴いますが、腹圧が上がると失禁しやすくなるので体重を減らすことも重要です。

 薬物は神経に働くβ3受容体刺激薬と、抗コリン剤が中心です。

薬物療法で効果不十分な難治性の場合は手術を行います。ボツリヌス菌を膀胱の筋層に打ち込み、膀胱を広げるボトックスと仙骨神経に電気刺激を与える方法があります。




予防はできますか。



 肥満のほか、高血圧や糖尿病といった生活習慣病が影響するため、規則正しい生活や適度な運動を心掛け、適正体重を維持しましょう。40代以上の5割は「ちょい漏れ」を含む失禁があるといわれますが、気になる人は骨盤底筋を鍛える体操もお勧めです。骨盤底筋は骨盤の底で膀胱や子宮、直腸などが下がらないように支えている筋肉。収縮力が弱まると、尿道が十分に閉まらなくなります。体操ではあおむけや座った姿勢で肛門や膣を締める運動をします。1日4回を基本に半年以上、続けることが大切です。

 また、コーヒーやアルコールなどの刺激物もなるべく避けましょう。摂取水分量が適切かどうかは尿量測定を行います。一般的に1日1~1・5リットルの尿量が目安です。








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