明日野家が聞く・健活インタビュー「皮膚がん」
- ma-hara3
- 10月22日
- 読了時間: 4分
(2025/10/23)
ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。
明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはずです。
顔に出やすく 日焼けが引き金 予防は可能!

「がんです」と聞けば、以前は「この世の終わり」と思う人も多かったです。手術も薬も医療技術が進んで、かかった後も長く生きられる時代になってきました。がんの中でも、お医者さんでなくても気付くかもしれない「皮膚がん」について、県立がんセンターの竹之内辰也副院長に聞きました。

たけのうち・たつや
1988年、東海大学医学部卒業後、新潟大学皮膚科に入局。93年、新潟大学大学院修了。97年、同センターに赴任。皮膚科部長、情報調査部長を経て、2017年から現職。専門は皮膚腫瘍・皮膚外科。日本皮膚外科学会理事長を務める。皮膚科専門医、皮膚悪性腫瘍指導専門医。
―「皮膚がん」は、どんな病気かしら?
年寄りに多いと聞いてるんですけど。

皮膚がんは、皮膚に発生するがん(悪性腫瘍)の総称で、希少がんの一つです。患者数は少ないですが、いろいろな種類があります。
最も多いのが「基底(きてい)細胞がん」で、約8割がまぶたや鼻の際、口の周りなど、顔面に生じます。黒いいぼのような腫瘍で、老人性のいぼやほくろと区別がつきにくく、小さいうちは誰も皮膚がんとは思いません。しかし、徐々に大きく盛り上がってきたり、形が崩れたり、出血したりします。転移はしませんが、進行具合によっては手術が大掛かりになります。
次に多いのが「有棘(ゆうきょく)細胞がん」です。半数以上が顔や手などの露出部に発生します。最初は硬いいぼ状のしこりですが、増大すると悪臭を伴います。進行するとリンパ管を介して広がるリンパ節転移をしやすくなります。
「ほくろのがん」と言われる「メラノーマ(悪性黒色腫)」は、皮膚の色をつくるメラニン細胞が悪性化したものです。厳密には、ほくろががんになるわけではありません。ほくろはずっとほくろで、メラノーマは最初からメラノーマで、別物です。ただ、出始めがほくろと区別がつかないため、ほくろのがんと言っています。最初は黒いしみから始まり、徐々に盛り上がったり、形が崩れてきたりします。体のどこにでも発生しますが、特に足の裏や爪に多く見られます。進行が早い悪性度の高いがんで、早い段階からリンパ節転移に加え、血液を介して転移する血行性転移も起きやすいです。
近年増えているのが「乳房外パジェット病」で、外陰部や肛門の周りなどにできるがんです。初期は湿疹やインキンタムシと区別がつきにくい上、デリケート部分にできるため、受診が遅れがちです。
基底細胞がん 有棘細胞がん 悪性黒色腫 悪性黒色腫
皮膚がんはいろいろなところにできるみたいだけど、
原因は何でしょう?

紫外線と高齢化が挙げられます。紫外線の皮膚毒性は蓄積性で、日焼けで傷ついた遺伝子の傷は消えません。つまり、若い時から紫外線を浴びてきた人が長生きすれば、発症率が高まります。そのため、80代、90代の有棘細胞がん患者が増えています。当院に来る皮膚がんの患者さんは年間300人以上いますが、半分くらいが80歳以上で、うち2割が90歳以上です。
昔は屋外労働者の割合の高さから、男性の患者さんが多かったですが、最近は逆転して、女性の患者さんが多いです。女性の方が長生きですからね。
ほくろやしみ、いぼだと思っていたものが大きくなった、色合いが変わった、形が崩れてきた、出血を伴うなどの変化があったら、迷わず皮膚科を受診してください。成人以降に爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)と呼ばれる爪に黒い縦線が生じた場合はメラノーマの可能性があります。
―どんな診断、治療をするの?

肉眼での目視と、ライトの付いた拡大鏡を用いて病変の状態を調べるダーモスコピー検査を行います。場合によっては、生検を行い診断します。
治療は、手術が第一選択となります。メラノーマで転移している時などは、先に薬物治療を行うこともありますが、原則は腫瘍の切除です。
基底細胞がんや有棘細胞がんは顔に出ることが多いので、ある程度のボリュームがあるがんを取ると、穴が開きます。当院では、それを埋める再建手術まで行っています。
乳房外パジェット病は、がんが尿道や肛門周囲に及ぶため、排せつ機能を温存するべく、婦人科や泌尿器科などと協力して行うこともあります。
―予防方法は? 家庭菜園は続けられるかしら?
紫外線対策をしっかりしてください。外出する時はサンスクリーン剤(日焼け止め)を必ず塗ったり、つばの広い帽子をかぶったり、日傘を差したりしましょう。目も紫外線の影響を受けるので、サングラスも有効です。
明るい部屋で大きな鏡などを使っての自己検診を習慣づけましょう。皮膚がんは検診で見つけるわけではありません。必ず皮膚の表面に出ているので、本人、または家族や周りの人が気付きます。薬を塗っても治らない虫刺されはありません。やけどなどの傷痕から数十年後、有棘細胞がんが発生することもあります。大きさや形などに変化はないか、時間経過に注意して観察してください。早期発見であれば対策が取りやすく、完治も十分に期待できます。











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