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気になる子どもの近視


進行させない環境が大切

外遊びや、適正な画面視聴を




子どもの近視は世界的な傾向で年々増えているのですが、さらに新型ウイルス感染症のまん延後、小学校低学年を調査した日本と香港の研究では、近視発症が明らかに増加しています。

近視の要因は、まずは遺伝的なものがあります。親が近視の場合、子も近視になりやすいのです。もう一つが環境要因です。その中で一番近視の進行を抑制するのが屋外活動です。その理由については光が網膜内にドーパミンという物資を誘導するという説が最も有力です。新型ウイルス禍で近視が増えたのは、自粛で家にこもったことによるスクリーンタイムの増加と、屋外活動の減少が影響していると言われています。すでにシンガポールや台湾などでは、子どもの近視予防のために屋外活動を学校で取り入れていて、導入後は近視が減少に転じています。1日40分を目安に外で遊んだり、散歩をしたりするなどの時間を確保してみてください。その他、目に影響を与える代表的なものが、本やデジタルデバイスを至近距離で見る「近業」です。これは持続時間が影響を与えます。本やスマホなどを見るときは、30分ごとに休憩して遠くを見るようにしましょう。目から30センチ離し、明るい場所で正しい姿勢で使うことも大切です。さらに、約24時間周期のサーカディアンリズム(いわゆる体内時計)の乱れも近視に関与しています。不規則な食事や寝不足などは視力にも良くありません。

このように、子どもの近視進行を抑えるためには①屋外活動を行う ②近業を30分行ったら休憩して遠くを見て目を休める ③規則正しい生活リズムを守るといったことが大切です。さらにデジタルデバイスの適正使用も重要で、特に眼軸(目の長さ)が変化しやすい乳児にスマホ画面を見せるのはその後の近視進行を促進する可能性がありよくありません。WHOのガイドラインでは0~1歳児は1日0分、2~4歳は60分以下とされています。近視が一定以上進行すると、大人になって網膜剥離、緑内障、近視性黄斑変性などの眼科疾患にかかるリスクが高くなります。まずは親子で行動を確認し、予防に取り組んでいただきたいと思います。すでに視力低下が分かっていたらメガネなどで適正に矯正することも大切です。



 







はにゅうクリニック 副院長

羽入 貴子さん

★PROFILE★

新潟大学大学院博士課程修了。医学博士。日本専門医機構認定 眼科専門医。新潟大学医学部非常勤講師。2018年はにゅうクリニックに眼科を併設し、新潟大学医歯学総合病院などでの経験を生かして地域医療への貢献を目指している。












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