新潟の医療、人…私たちも支えます
- ma-hara3
- 9月2日
- 読了時間: 5分
にいがた脳心センター開設
~センター長・副センター長に聞く~
(2025/9/3)

新潟大学医歯学総合病院(新潟市中央区)に「新潟県脳卒中・心臓病等総合支援センター」(通称・にいがた脳心センター)が開設されて約2カ月が経過した。脳や心臓の循環器病患者と家族の相談支援や予防の啓発活動、地域医療の支援と連携を図っていく。循環器内科医が全国的にも最少と言われる新潟県で、どのように医療活動をけん引し、支援を展開していくのか。同病院副病院長(循環器内科)で初代センター長となった猪又孝元センター長=写真左=と大石誠副センター長(脳神経外科)=写真下=の二人に聞いた。

予防から介護、終末期まで 患者さんと深く関わる体制
―新潟県脳卒中・心臓病等総合支援センター(にいがた脳心センター)が開設された意義を聞かせてください。
猪又 循環器病とは心血管疾患と脳卒中を合わせたもので、がんに次いで日本人の死因第2位です。しかも増加傾向にあり、今後はがんを抜き、第1位になると予想されています。
国も循環器病対策推進基本計画を閣議決定するなど、対策に注力しています。その一環として、厚生労働省の2025年度モデル事業に応募し採択され、開設となりました。
当センターは、県や医師会などと連携しながら地域全体の患者支援を充実させ、情報提供や普及啓発、急性期から回復期、維持期までの円滑な移行推進、医療・支援機関のネットワーク構築などを担います。
循環器病は突然、救急搬送されるイメージがありますが、実はそうなるまでに30年ほどかかります。つまり、予防に始まり、急性期や回復期、リハビリや介護などの終末期までの長期間、一人の患者さんと多職種で関わっていく必要があります。
昔は病気を治して終わりでしたが、患者さんからすれば、病気が治っても寝たきりになることは目的ではありません。家に帰り、好きなことを少しでもして、いい人生を歩む。そういうことに包括的にアプローチすることが、循環器病の新たな形です。これは結局のところ、地域医療です。患者さんをいろいろな人たちで支えなければ、人生100年時代の日本の医療は支えられません。循環器病は、その実験台だと思っています。
―地域や患者さんたちにどのような支援を行うのですか?
猪又 電話や面談で、心臓病や脳卒中などに関する、さまざまな相談を受け付けます。福祉サービス、在宅医療や介護、職場復帰や就労、リハビリテーションなどに関することはもちろん、不安に感じること、対応に困っていることなどもお聞きします。セカンドオピニオンはできませんが、困りごとへのアドバイスはできます。相談は無料です。
患者さんの支援に加えて、県民の皆さんへの情報発信、医療機関の勉強会や支援方法の情報提供などを通して、包括的な支援体制を構築していく方針です。
大石 脳神経外科の領域では、県内のどの地域にいても、かかった病院で同じクオリティ―の治療が受けられるよう、横の連携を図ってきました。
そして、それぞれの病院には役割があります。大学病院で治療した場合、治療が終わり次第、速やかに地元のリハビリ病院や回復期病院へ移り、リハビリを始めた方が予後にいいことが分かっています。当センターでは、医療機関と連携し、身近でリハビリできる場の調整をしっかりしていきたいです。
併せて、皆さんに正しい病院の使い方を知っていただければと思います。
「新潟らしさ」を大切に 病気は自分事にして
―センターや新潟県の医療の将来像を聞かせてください。
大石 新潟は広い県内を一つの大学病院でまとめています。これは特殊なことだと思います。だからこそ、必要な医療をきちんと届ける責任があります。当センターを通して、新潟オリジナルのモデルを作れればと考えています。
僕たちは、新潟で病気になった人に「新潟で良かった」と思ってもらえるような診療を目指して努力しています。どうしたら患者さんやその家族が一番ハッピーになるか。それを最も大事にして治療を進めることを大切にしています。
当センターのネットワークを生かし、県内の救急医療体制をきちんと整備しています。
猪又 昔は各病院が外来も、救急も、急性期治療も、慢性期治療も診る個人商店でした。それが各領域の発達により運用が難しくなり、結果的に救急一つとっても回らくなっていました。そのため、医師など一人一人が精いっぱいやっても、循環器病はその場をしのぐだけで終わらざるを得ませんでした。これからは、プランを立て、具現化し、点検し、どう変えるかというPDCAサイクルを回す実行役を当センターが進めていきたいと考えています。
新潟県は医師が少なく、循環器内科医数は全国最少レベルです。その中でも、循環器病の患者さんやご家族の悩みなどに寄り添い、サポートすべく、「心不全療養指導士」などの資格を有する医療従事者の育成にも取り組んでいきます。
今後は、各地に支部を開設していく予定です。当センターを中心に各支部と連携を図ることで、新潟という地域全体が連携していけるように業務を進めていきます。
そして、まずは病気に関心を持っていただきたい。循環器病は健康寿命に深く関わる病気なのに、新潟県民はどこか他人事で危機感がないところを危惧しています。多くの県民が自分事と思えるように、皆さんへの情報発信に力を入れていきます。気軽に相談してください。私たちは、いつでもウエルカムです。

<猪又孝元・センター長>
いのまた・たかゆき 糸魚川市出身。県立高田高校、新潟大学卒業後、ドイツ・マックスブランク研究所に留学。北里大学北里研究所病院循環器内科教授などを経て、2021年新潟大学循環器内科学教授、22年新潟大学医歯学総合病院副病院長に就任。専門は心臓病一般、心不全。趣味はミュージカル鑑賞。<大石誠・副センター長>
おおいし・まこと 埼玉県立浦和高校、新潟大学卒業後、カナダのトロント小児病院などで研さんを積む。2023年、新潟大学脳神経外科分野教授、25年、新潟大学医歯学総合病院病院長補佐。専門は、頭蓋(ずがい)底部疾患、小児脳腫瘍、てんかんをはじめ、脳神経外科手術全般。趣味はラグビー。プレーも観戦もする。協力:株式会社メディレボ


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