ちょっと気になるあんな病気、こんな症状ー。
明日野家の面々が県内の医師を訪ね、病気の特徴や治療、予防のポイントについてインタビューしてきました。明日からの健活にきっと役立つはず。
まず検査 早期発見が重要 AIも力
がんの中でも日本人では男女とも患者が多いといわれている大腸がん。早期では自覚症状もなく、進行すると症状が出てくる大腸がんの特徴や検査・治療方法を、三条市で開業している津端内科医院の津端俊介院長に聞きました。(明日野健)
つばた・しゅんすけ 1998年、新潟大学医学部医学科卒。県立中央病院医長、県立新発田病院部長、立川メディカルセンター立川綜合病院内視鏡統括医などを歴任し、2022年5月から現職。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。
「大腸がん」とは、どんな病気ですか?
文字通り、大腸にできるがんです。初期は無症状ですが、進行すると、腫瘍から出血して血便が出たり、腫瘍が腸を詰まらせて便秘になったり、逆に便の出口が狭くなるので下痢になったり、便が細くなるなど、便通の異常症状が出ます。
腫瘍からの出血により、顔色が悪い、疲れやすいなどの貧血症状が出ます。腫瘍が大腸をふさぎ、おなかが張って苦しい、腹痛などの腸閉塞(へいそく)の症状が現れることもあります。
実は、大腸がんは男女とも2番目に多いがんで、30代から罹患(りかん)率が増え始め、年齢が上がるにつれて高くなっていきます。脂肪や肉類の取り過ぎが危険因子として重要視されていて、特にバターなどの動物性脂肪や赤肉(牛や豚などの肉)の過剰摂取がリスクを高めると考えられています。喫煙や飲酒もリスクとして挙げられることが多いです。
大腸がんを早く見つけるには、どうすればいいですか?検査方法や治療方法は?
初期は無症状なので、早期発見には定期検診が有効です。検診では「便潜血検査免疫法」、いわゆる検便を行い、便に血液が混ざっていないかを調べます。
出血したから必ずがんがあるわけではなく、痔など、いろいろな理由で出血が起こり得ます。出血の原因は検査しないと分かりません。検便で陽性が指摘されたら自己判断せず、2次検査を受けましょう。
2次検査では、大腸内視鏡検査(下部消化管内視鏡検査)か、バリウム検査(注腸造影検査)、または大腸CT検査で腸の中を診ます。一般的に行われるのは、大腸内視鏡検査です。先端に小型カメラが付いた細長い内視鏡と呼ばれる装置を、肛門から大腸の一番奥にまで挿入し、少しずつ空気を入れながら大腸全体を観察します。その際、腺腫(良性のポリープ)やがんなどの病変を見つけたら、その場で鉗子(かんし=ピンセットのようなもの)を内視鏡の先端から出して組織を採取して検査に出したり、電気メスのような装置(スネア)で切除したりすることもあります。
腺腫は良性であっても将来的に悪性化する可能性があるため、積極的に切除を行います。将来悪性化する可能性のある病変を見落とすことなく適切に切除するために、当院では人工知能(AI)支援システムを導入しました。もう一つの目が一緒に見てくれていて、ダブルチェックできている感覚があります。小さいポリープも迅速に検出し治療につなぐことができています。
血便など、気になる症状がある場合は、かかりつけ医か、消化器内科を受診してください。日本消化器内視鏡学会のホームページから、県内の専門医を調べることができます。
大腸がんは、大腸の壁の一番内腔側の粘膜から発生し、深く進展していきます。粘膜にとどまっている状態であれば、局所を治療する内視鏡治療が選択されます。深く進展した状態では、外科的手術や抗がん剤治療などを行います。
予防対策や普段の生活で気を付けることがあれば、教えてください。
食物繊維を取り、運動をしましょう。たばこは控えてください。
初期は無症状なので、定期検診を受けましょう。そして、1次検診の検便で陽性だったら、2次検診をしっかり受けてください。検便陽性が必ずしもがんとは限らないけど、検便陰性が異常なしとも限りません。腹痛や下痢、便秘など、気になる症状があれば、恥ずかしがらずに医療機関を受診してください。
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