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11/18 | にいがた健活講座「健康寿命の延伸のための身体活動・運動」

にいがた健活講座「健康寿命延伸のための身体活動・運動」

新潟リハビリテーション大学 

小林量作教授

 

  こばやし・りょうさく 新潟大学大学院修了。国立療養所西小千谷病院理学療法士長、国立療養所犀潟病院附属リハビリテーション学院教官、新潟医療福祉大学教授などを経て、2019年から現職。県健康にいがた21評価・進行管理部会委員などを務める。





 

転倒骨折で要介護に

体力維持、予防の鍵


 いつまでも健やかに暮らすためのヒントを探る「にいがた健活講座」が11月28日、新潟日報メディアプラス(新潟市中央区)で開かれました。新潟リハビリテーション大学医療学部リハビリテーション学科の小林量作教授が介護予防に重要な運動や日ごろの活動のポイントを解説しました。

 

 要介護(寝たきり)の原因1位は認知症、2位は脳卒中。そして、高齢衰弱、骨折・転倒、関節疾患が続きます。骨折・転倒を運動器の障害と考えると、関節疾患と合わせて2割以上が、足腰弱化が原因で要介護になっています。これは要支援になる要因の上位も占めます。

 高齢になると疲れやすく、あちこちが痛かったり、寒さなどから家に閉じこもったりすることが増加。横になることが増え、体力が落ち、足腰が弱って転倒・骨折しやすくなり、要介護になるという悪循環のメカニズムがあります。「テレビとこたつの子守りは寝たきりの予兆」。この悪循環を、体力維持で断ち切りましょう。


歩行や体操継続を

週3回30分が目安


  正しいラジオ体操や筋トレ、歩行などいろいろな運動を行うことが大切です。運動は副作用のない薬と言われますが、リスクもあります。体調の変化などに注意して行ってください。

 運動の強度は、自分の感覚で「楽~ややきつい」程度を目安にします。時間は1日30分以上ですが、朝10分、夕方20分の足し算でもOK。頻度は週3日、最低2日。筋肉が太くなるのに8~12週間かかるため、最低でも2カ月くらい続けると効果を自覚できます。2日間やったら1日休みというように休息日を設けましょう。継続が大事なので自分の都合がいい時間に行ってください。

強度については、静かに座っている状態を「1」とし、その何倍のエネルギーを消費するかで活動強度を示す「メッツ」を参考にするのもいいでしょう。目安は3~4以上で、速歩歩行やラジオ体操第一、筋トレなどが該当します。

 筋トレは、正しいフォームを心掛けてください。

 バランストレーニングは「片脚立ち」がお勧めです。姿勢を真っすぐにし、床につかない程度で片脚を上げるだけです。危ない人は机につかまっても構いません。左右1分ずつ、3回で1日分。テレビを見ながらでもできるので、ぜひやってください。

 筋肉には、関節を動かす、骨を強くする、脂肪を燃やす、体を温めるといった働きがありますが、最近注目されているのが「生理活性物質」を生み出す内分泌器官としての作用です。生理活性物質は、動脈の炎症予防、脂肪分解、脳の神経細胞を保護する作用があります。筋肉量を増やすことが重要です。

 歩行は、軽い負荷で長時間できる有酸素運動です。姿勢良く、腕は少し後ろに振る。膝は真っすぐでかかとから着く。息が弾む速さで、少し大股を意識して歩くとできます。高齢者は1日8千歩。うち20分早歩きすると生活習慣病を予防できます。75歳未満は1万歩。うち30分早歩きでメタボ予防になります。





小まめな活動大切

人との接点保って


 運動以外では、小まめに動くこと。自宅では郵便物の受け取りなど何でも自分で動く。雑巾がけや庭仕事など、生活を見直し、どうしたら活動量を上げられるか考えましょう。

 また、国は介護予防として、交流と運動による介護予防や生きがい向上を図る「通いの場」への参加を推奨しています。町内規模で集会所などに週1回集まり、1~2時間、茶話会や運動を行うのが理想。参加すると要介護リスクが半減するというデータもあります。さらに、対人交流が週1回より少ない人は毎日交流している人と比べ、要介護や認知症になる率などが高い。運動ができなくても人と関わることが大事です。そういう意味でも「通いの場」は大切です。

 高齢者が運動を続けるためには①楽しい体験②仲間がいる③通いやすい場所④効果を感じる⑤目標があること-がポイントです。1カ月休んでも諦めない。また始める気持ちが大切です。「休んでもいい。また始めればいいんだ」くらいの気持ちでいいんです。そして、続けるためには人とつながることも大事ですよ。





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